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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

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    5203進水日おめでとう。お祝い感迷子な上、遅刻した(1/15でした)

    #擬人化
    Humanization
    ##お遊び

    記念日 自分達にあてがわれている休憩室に誰もいないのを確認し、そっと自艦から持ってきたものをテーブルに取り出した。冬の炬燵アイスはちょっとした憧れだ。あいにくここに炬燵は無いから窓辺に置かれたストーブを前にして、だけど。カップの蓋を開けたところでドアノブを回す音がした。思わず手に持ったまま背後に隠す。
    「あれ、あきいたんだ。……ところでなにやってるの」
     やってきたむろとさんがソファの入口側に腰掛ける間、ずっと中途半端な格好で固まっていたらだれが見ても怪しい。至極当然な疑問と視線に観念し、持ったまま表面が少し溶けてしまったアイスをテーブルに戻しながらおずおずと答える。
    「お腹を冷やすから駄目だと言われていて、寒い時期に食べることは無かったんですけど。今日は進水日[誕生日]だからやりたいことやってみようかなあって」
     暖かいし、明日もお休みだし、期間限定品が美味しそうだし……、とこそこそしているところを目撃されたきまりの悪さにごにょごにょと言い訳を付け加える。小さい頃と成長しきった今とでは体調に与える影響は違うのだろうと思うものの、やはり初めての挑戦は少し不安もある。兄達は過保護なところがあるから口煩く言っていただけかもしれないけれど。
    「ふぅん、なるほどね。鬼の居ぬ間にってやつか」
     いたずらっぽく目を細めながら呟いている。続けて、せっかくだから美味しい内に食べなよと指差すので慌てて隣に腰を下ろしスプーンを手に取った。黙々と掬っては口に入れる。手も口も冷えているけれど、暑い時期と違ってゆっくり味わえるのが嬉しい。舌の上で塊を転がしては口許が緩む。
    「冷やすのが心配なら今みたいに暖かい場所で食べるか、温かいものを一緒に摂りな。今日のところは心優しい先輩が飲み物いれてやろう。ただし、保護者からの文句は受け付けないからな」
     コーヒーで大丈夫か、との問いにはこくんと頷く。もう一人前だと思っていたけれど就役した三月まであと少しだけ、新人として甘えても良いのかもしれない。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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