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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

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    176+117。距離感が初々しいころ

    #擬人化
    Humanization
    ##本編

    護るもの 入港の挨拶をしに顔を見せたすずつきと出入口で出会し、祝いの言葉を掛けるとともに皆が揃うあたりへと足を進める。近況を尋ねたり雑談を交わす中でそういえば、と軽く問いを投げ掛けた。
    「大船に乗ったつもりで、とはもう言ってくれないの?」
     いつかの造船所の一角で交わした会話は流れこそ忘れてしまったけれど、淡々と紡がれた言葉は喧しいくらいの蝉の鳴き声に混ざってもなおしっかりと耳に残っている。そういう風に造られた、とわかってはいても自分のために向けられた気持ちは嬉しいものだ。少し年甲斐もなく照れてしまうくらいには。
    「よりによってそこ覚えてるんですか……。慣用句だといっても自分より大型の艦相手に〝大船〟なんて言ったの、直後に後悔したんで早く忘れてくださいよ」
     言った本人は若気の至りを掘り起こされて穴があったら入りたいと全身で訴えているが、そこへゆったりと返す。
    「それは無理かなぁ。頼りにしているんだけれど」
    「それはもちろん……! 背中はお任せください!」
     バッと上げた顔には決意が満ちている。にこりと笑ってこれからよろしくと改めて握手を交わした。気付けばもう談話室の目の前だ。扉を開けば早速、既知の在泊艦艇たちから受けるやや手荒い歓迎に快活な笑い声が響く。もみくちゃな様子にドッグランみたいだなと思いつつも、そこへ混ざるべくゆっくりと歩み寄っていった。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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