副会長の野望 その日、聡明な副会長が持ち込んだ企画は、愚昧な生徒会長の想像の成層圏を余裕で越えるものだった。
「瞳島会長の素晴らしさを広く全校生徒に知らしめるために、会長の写真をふんだんに使用した日めくりカレンダーを作ってみようと思うのですが、いかがでしょうか? いわゆるプロパガンダです」
プロパ……ンガスが何だって? と訊き返したいのをぐっとこらえて(おそらくガスは無関係だろうから)、それより何より聞き捨てならないワードの尻尾をつかまえて、わたしはおっかなびっくり口を開いた。
「ええっと、日めくりカレンダーって、一日一枚構成になっていて、日付が変わるごとに一枚ずつめくっていく、あの日めくりカレンダー?」
「はい! その日めくりカレンダーです」
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