【#07】背伸びをしても届かない第7話「重なる顔」
仕事に集中しすぎると頭が痛くなる。
ずっとPCの前から動かず、ブルーライトを浴び続けているせいだろう。
言語を打ち込む作業に一区切りつけたタイオンは、深く息を吐きながら椅子の背もたれに寄りかかり、かけていた眼鏡を外す。
割り当てられたプロジェクトのリリース日が近いせいか、最近は残業続きの日々が続いていた。
毎晩終電近くに帰宅しているため、体に疲労感が蓄積している。
目頭を右手でマッサージしていると、少し離れた席で作業している上司、部長のイスルギの姿が目に入った。
同じようにPCの前でタイピングを続けている彼を視界に入れた瞬間、数日前の居候との会話を思い出してしまう。
イスルギから届いた結婚式の招待状が届いたあの日、ユーニはイスルギの結婚相手であるナミの名前を言い当てていた。
10982