魈君おたおめ小説「よもや、ここまで業障の影響が出ていたとはな。」
仮面を解き、未だ自壊している魔物共の残骸を見やる。小物と呼べるヒルチャールやシャーマンやスライム、中物の盾持ちや斧持ち、更には大物である岩兜の王までもがそれの影響を受け孤雲閣に拠点を作っていた。魔神の邪念からなる業障の本能で憑かれた奴らは必然的にここ引き寄せられ巣を作り、留まる。
「まぁ、分からない訳でも無いが」
返事の無い骸に溢し、槍を風に溶かしてその場を去る。分からないでもなかった。業障を受けたあの日から仮面を被り魔物を屠った後、この場へふらりと立ち寄りたくなる、その場に行けば痛みが遠のく心地がするのだ。だから、分からないでもないと思った。
さくさくと取り留めもなく浜の砂を踏みしめているとコンと何かを蹴った感覚と音が耳に届き視線を下げる。青と白の縞模様の貝殻が一つ埋まっていた。
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