転生晏沈 ラスト 晏無師は部屋を飛び出した。
エレベーターがすぐに来ないことに舌打ちし、意味がないと知りながらもカチカチと繰り返しボタンを押す。こんな時に限って全ての台がまだ低層階にある。昇ってきていることを示すエレベーターの点灯ランプの遅さに苛立ち、晏無師は黒いコートを翻した。これ以上待ってなどいられない。晏無師は非常階段のドアを開け、一気に駆け下り始めた。一刻も早く沈嶠を追いかけなければいけなかった。
どう言い表せばいいのかわからないほどの凄まじい感情が晏無師の胸の中で渦巻いていた。心臓が高鳴り、全身が炎に包まれているかのように熱い。どれほど会いたかったか、どれほど恋しかったか。気が狂い心が割れるほどに愛したその相手が、生まれ変わった今、手が届く距離にいるのだ。
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