【眠れずの魔女】暗い森の奥に、薄汚れた古い小屋がある。
そこには不眠症の魔女が一人、住んでいた。
彼女は何十年も昔、人々に眠りをもたらす魔女だった。
彼女の涙には眠りを誘う効果があり、それを眠れずに憔悴する人々に分け与えていた。
だが今となってはどうだろう。
彼女自身が一睡もできずに、布団にもぐって目を瞑っていても眠りにはいることができないでいるのだった。
そんなある日、彼女の元に一人の青年が訪れた。
➤ここからAI
「あなたが、僕の望みを叶えてくれる人ですか?」
彼はそう言った。
その顔色は青白く、目の下には隈ができており、一目見て健康な状態ではないとわかった。
「……いいえ」
彼女は首を振った。
「……僕はもう長い間眠ることができません」
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