誕生日を尋ねられた。
私は
『分からない』
と真実を口にした。
それを受けて、ふたりは
『ふぅん』
と、何の抵抗もなく納得した。
程なくして私の誕生日が定められた。ふたりの意見と、そして私の考えも汲まれた日だ。
有難いと成るが儘に頬を緩めた一方で、ふと、ひとつの可能性も頭に浮かんだ。
故に、問うた。
『私に誕生日はあるのか』
と。
誕生日の定められた日から少しばかり経ったとある逢魔時、その輪郭を夜闇に溶かしながら姿を見せたその人に。
聞いた刹那、周囲の空気が僅かに冷えた。
その人の表情に変化はない、が、紅い相貌が、微かに揺れた。
『 』
ぽつりと告げられた日付。それは先日、友人たちと定めた日とはかけ離れている。
当然だ、知らなかったのだから、致し方ない。だが──
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