頼みがあるとカカシの忍犬たちがイルカの家にやって来たのは、九月十四日の早朝のことだった。まだ寝ていたところに玄関の呼び鈴が一回だけ鳴らされ、イルカが目をこすりながらドアを開けてみると、そこには見慣れた忍犬が八頭、大人しく座ってイルカが出てくるのを待っていた。
外はようやく白み始めた頃だった。いつもならイルカもまだ寝ている時間だ。そんな時間にカカシの忍犬たちが何の用かとイルカは疑問に思った。彼らが早朝に散歩していることは知っていたのでそのお誘いかとも思ったが、肝心のカカシの姿は見当たらない。まさかカカシの身に何かあったのかと一瞬嫌な思考が過ぎったが、彼らの雰囲気からするとそんな切羽詰まった状況でも無さそうだった。
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