感情の声『それでも俺を愛してくれ』
やっと見つけたオリバーの目の前でそんな言葉が
口から出るとは自分でも思いも寄らなかった。
オリバーがいなくなった日。
自分の胸の内が凍りつく様な、そんな気さえした。
なのに頭は冷静で(こうなる気はしていた)と、
この事を周りに説明しておかねばとそう思うくらいだった。
だが家に帰ると声がした。
声変わりする前のまだまだ幼い自分の声が。
『オリバーはどこにいるんだ』
『どうして帰ってきてくれないんだ』
『俺をもう守ってくれないのか』
きっとこれは感情の声だ。
でも声は声であって、心や頭はそれと繋がらない。
(俺は寂しいんだな)
そう分析出来るだけで、自覚とは遠い理解しかできない。
だからオリバーが俺を見捨ててしまった今、
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