Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    chunyang_3

    MEMO景儀と思追の出会いの妄想です。思追が温寧と温家の弔いを済ませ雲深不知処に戻った頃に、魏無羨も雲深不知処に留まる様になったという時間軸の設定です。うさぎと一緒に人参を食べていた頃の思追くんと景儀の出会いの話を書いてみたくなって書きました。
    君と兎と しんと静まり返った蘭室を前にして、藍景儀は柄にもなくとても緊張していた。今日は景儀にとって初めての座学だ。随分前に蘭室には遊びで入って良い場所ではないと叱られてからは一度も近寄っていないので、この建物に来ること自体、ちょっと尻込みしてしまう。
     同じ年頃の藍家の子弟が中に入って行くのに続けて景儀もその静かな空間に足を踏み入れた。周囲を見回してみると、どうやら空いている席に座って良さそうだ。
     こっそり息を吐いて、周囲を見回す。近くに誰か景儀が知っている友達がいると安心できるのだけれど来ているだろうか。そう思って既に座っていた隣の席の少年へと視線を向けた景儀は、視界に入ってきた横顔に思わず息を呑んだ。まるでお手本のように姿勢良く座っていた景儀と同じ白い藍氏の校服を身に纏った少年も、隣に誰かが座ったことに気付いたらしい。軽く横へ顔を向けたことで、景儀と顔を互いに合わせることになった。その顔を見て、景儀は思わず叫ばずにはいられなかった。
    6997

    chunyang_3

    MEMOCQL話数ワンドロワンライアンコール開催分。2周目に見る1話の魏無羨が過ごす夜の話です。2周目ということにすれば、これまでのことを思い出しているんだろうなぁということがネタバレ有りで書けるのでは!?と思い立って書いた話です。草笛で奏でる旋律は全てを失った魏無羨に残された魂に刻まれたものなのだろうなと思えてとても好きです。
    ※画像で上げたものと基本的に同じですが、表現を手直ししています
    残されたもの 魏無羨はこれでも一応途方に暮れていた。
     今の状況で途方に暮れない人はほとんどいないだろう。一度死ぬ前の魏無羨なら、もう少しは不遜な態度でもしてみせたかもしれない。とはいえ、一度魏無羨はこの世から消え、死んでいる間に十六年も時が経っていたらしい。そんな事態なのだから、魏無羨だって多少は途方に暮れても許されるのではないだろうか。
     せめて魏無羨をこの世に蘇らせた莫玄羽が詳細を書き残してくれていれば良かったのだが、どうやらそこまでは考えなしだったのか、それとも詳細を書くことを躊躇っていたのか。
     魏無羨の魂を呼び寄せ、己の魂魄を犠牲にした莫玄羽は魏無羨に負けず劣らず周囲に敵しかいない状況ということは否応なく理解した。一体何をして金家から追い出されたのか詳しくは分からないが、金家にも莫家にも居場所がなかったことだけは確かだ。そんな莫玄羽と一度話をしてみたかったなと思う。もし話が聞けたなら、怨んでいる相手くらい分かるようにしておいてくれとか、陣の描き方のちょっとした間違いなんかを説教してしまうかもしれないけれど。
    1475

    chunyang_3

    MEMOCQL話数ワンドロワンライ3回目(21~30話)。28話の夷陵で再会した忘羨と阿苑の話です。剣と刀で2本買ってもらったんだなぁなんてことを思いながら書きました。
    ※画像で上げたものと基本的に同じですが、表現を手直ししています
    夷陵での再会 子どもがずっと乱葬崗にいるのは良くないかもしれないし、阿苑なら温氏だと誰かに気付かれることもないだろうと、魏無羨は街の様子を見せるためにも阿苑を夷陵の街に連れてきていた。目を離したほんの一瞬でいなくなった阿苑に肝が冷えたのは一瞬で、阿苑はなんとあの雨の中で別れたきりの藍忘機の足元でわんわんと声を上げて泣いていた。
     久しぶりに遭遇した見知った顔が、阿苑を泣かせているなんて思いもしなかった。あんな別れ方をしたのに、再会がこんな笑える場面だなんてことも思いもしなかったけれど。お陰で声を掛けることに悩まずに済んだし、冗談を言って揶揄って、まるで何もなかったかのように話をすることができた。
     屋台の玩具屋の前で足を止め、阿苑に玩具を見せてひやかした。乱葬崗には玩具などないし見せてやるくらいしてもいいだろう。しかし、阿苑に玩具を見せて喜ぶ姿を見た藍忘機は、なぜ買ってやらないと不満気に疑問をぶつけてくる。そりゃあ、お金があったらいくらでも買ってやりたいが、今の魏無羨にはなかなかそうもいかない。
    1739

    chunyang_3

    MEMOCQL50話の後の懐桑と藍曦臣の話(https://poipiku.com/2517302/5280800.html )に至る兄上と“兄弟”の話。nielanなのかyaolanなのか?みたいな感じですけど、どっちも違うベクトルで大切だったんだろうなぁと思う。“兄弟”にこだわる兄上の話です。お誕生日に上げる話じゃない気がするけどおめでとうございます!(遅刻)
    ※竜胆要素は原作からです
    竜胆の願い 修練を始めてからは月に一度、母と会えるのを楽しみにしていた。母上にこんなことができるようになったと言ったらまた褒めてもらえるだろうかと期待しながら向かっていた。叔父上は厳しい方だったので辛いと感じたこともあったはずだけれど、記憶にあるのは母にたくさん話をすると褒められるのが嬉しかったことばかりだ。そんな毎日だったからだろうか、母と叔父しかいない世界が変わった時のことは鮮明に覚えている。
    「あなたに弟か妹ができるの」
     そう言いながら母がお腹をさすって微笑んだ。あの日から、私は兄になった。

    「兄上」
     呼ばれた声にふと我に返る。弟が部屋にやってきていたらしい。うっかり考えに耽っていて声をかけられたことに気付かなかったが、何度か呼んでくれたのだろうか。藍曦臣が立ち上がって弟を迎え入れようと扉を開けると、弟は手に籠を提げて立っていた。恐らく夕餉だろう。
    4567

    chunyang_3

    TRAINING射日の戦いの英雄魏無羨ってつまるところ羿(げい、中国神話の英雄、弓の名手、太陽を落とす)だよなと思ってたんですけど、CQL1話で藍湛がいきなり月見上げてるし、二人の出会いも月見上げてたので、藍忘機って月に逃げなかった嫦娥(じょうが、羿の妻、羿を裏切って不老不死の薬を手に月に逃げる)じゃん!?となった感想のような忘羨知己です。THIS IS 知己(たぶん)
    Do not repost.
    月に昇らじ 夜の風が竹林を通り抜ける囁くような音が聞こえてくる。風の音に藍忘機が琴を弾く手を止め、開け放たれた外へと視線を向けると、魏無羨は軒先から見上げた月の明かりに目を細めながら天子笑を呷っていた。
     静室の奥に座る藍忘機がじっと魏無羨の顔を見つめていると、魏無羨が振り向いた。藍忘機の琴の音が止まったことが気になったらしい。
    「藍湛、どうかしたのか?」
     月明かりに照らされた魏無羨の陰影の濃い輪郭に見惚れながらも、藍忘機は前々から気になっていた疑問を口にした。
    「好きなのか?」
    「ん? 俺が酒を好きなのは見てれば分かるだろ? 酒ならいくらでも飲めるなぁ」
     魏無羨の答えを聞かずとも、彼が酒を愛していていくらでも飲めることは良く知っている。
    2362

    紫雨(shigure)

    MOURNING「明日は君の隣で」
    忘羨の現代AUで、2人とも大学生という設定です。
    女装して街へ繰り出した魏嬰が、藍湛をナンパして男だという事を隠してデートするお話。
    もとは前々回のワンライ(お題「誤解」)に合わせて書くつもりだったのに、まったく収まらず…!
    明日は君の隣で 廃屋の朽ちた扉に手をかけて中に入ると、左奥の物陰からゆらりと歪な動きの人影が飛び出し、こちらへ近づいてくる。――――――彷屍だ。
     魏無羨は、手にした銃の照準を彷屍の頭蓋に合わせると、数回トリガーを引く。彷屍はあえなく崩れ落ちるが、その後ろからも、二体の彷屍が続いて姿を現した。魏無羨は慌てる様子もなく次の彷屍に銃口を向ける。
    「お兄さん! 次、右手前から飛び出してくるからお願い!」
    「うん、わかった」
     呼びかけに応えた藍忘機は、自身の持つ銃を右手前に向け、彷屍が下部から頭を出した瞬間にその頭を撃ち抜くと、そのまま魏無羨に加勢して、襲い来る彷屍にとどめを刺した。
    「お兄さんさすが! かっこいい!」
     ここでゲーム画面が切り替わる関係で、少しのインターバルがあることを知っている魏無羨は、ここぞとばかりにはしゃいで、藍忘機を持ち上げつつ―――――その内心では、おかしな事になったな、と愉快に思う気持ちと、困惑する気持ちとがせめぎ合っていた。
    5459