紫雨(shigure)
PROGRESSタイトルは仮です…!本編終了から10年くらい経った凌澄のお話し。
なんだかんだと金凌を受け入れている江澄と、それに甘える金凌の夜のお話しが書きたかったのですが、時間が足りず性行為の直前までしか書けませんでした…!🙏🙏🙏
新年会の最中に後編が上げられたら上げたいですが、おそらく後日pixiv公開になるかと思います。すみません…orz
君を待つ宵に(前編) 金鱗台で与えられた客室にて、江澄は寝入ることができずにもぞもぞと寝返りをうった。
そもそも、神経質な江澄は蓮花塢の自室以外で寝るのは得意じゃない。
この部屋を用意した人間はそうした江澄の性質も、江澄の私室の設えも知り抜いている人間だ。江澄が使用しているものと同じ産地から取り寄せた同じ肌触りの布団。欄間や天井の細工などは蘭陵金氏好みの豪奢なものではなく、雲夢江氏らしい素朴ながらも流麗なつくりで、薫きしめられた香も、江澄の好みに調香されている。それでも落ち着かないのは。
「叔父上、一緒に寝よ」
こうして闖入者がやってくるのを、予見していたからだ。――――邸宅の主人を闖入者と呼んでいいのかはわからないが。
2352そもそも、神経質な江澄は蓮花塢の自室以外で寝るのは得意じゃない。
この部屋を用意した人間はそうした江澄の性質も、江澄の私室の設えも知り抜いている人間だ。江澄が使用しているものと同じ産地から取り寄せた同じ肌触りの布団。欄間や天井の細工などは蘭陵金氏好みの豪奢なものではなく、雲夢江氏らしい素朴ながらも流麗なつくりで、薫きしめられた香も、江澄の好みに調香されている。それでも落ち着かないのは。
「叔父上、一緒に寝よ」
こうして闖入者がやってくるのを、予見していたからだ。――――邸宅の主人を闖入者と呼んでいいのかはわからないが。
pandame23
DONE凌澄ワンドロワンライ第31回のお題【二日酔い】お借りしました
💛💜は良いぞ
二日酔い「ううん……頭が痛い……」
「二日酔いだろう。全く情けない。お前ももう子供じゃないんだぞ」
叔父上は寝台に仰向けになったままこめかみを押さえて唸る俺を見下ろしてそう冷たく吐き捨てると、濡らした手拭いを俺のおでこに載せて背を向けた。
昨晩、この叔父は少なくとも俺の倍は酒を呷っていたのに不調を訴えるどころか顔色ひとつ変わっていなかった。
まったく、澄ました顔しちゃって。誰のせいだと思ってるんだよ。
俺は叔父上の背中を睨みつけて腹の中でそっと毒づいた。
「なんだ、お前……叔父の酒が飲めないと言うのか?随分と生意気になったものだな」
「はいはい……わかったよ頂きます」
叔父上に酒を勧められてからかれこれ二刻くらいたっているが、叔父上は頬がほんのり桃色に色付いているくらいで殆ど酔っ払っていなかった。
2649「二日酔いだろう。全く情けない。お前ももう子供じゃないんだぞ」
叔父上は寝台に仰向けになったままこめかみを押さえて唸る俺を見下ろしてそう冷たく吐き捨てると、濡らした手拭いを俺のおでこに載せて背を向けた。
昨晩、この叔父は少なくとも俺の倍は酒を呷っていたのに不調を訴えるどころか顔色ひとつ変わっていなかった。
まったく、澄ました顔しちゃって。誰のせいだと思ってるんだよ。
俺は叔父上の背中を睨みつけて腹の中でそっと毒づいた。
「なんだ、お前……叔父の酒が飲めないと言うのか?随分と生意気になったものだな」
「はいはい……わかったよ頂きます」
叔父上に酒を勧められてからかれこれ二刻くらいたっているが、叔父上は頬がほんのり桃色に色付いているくらいで殆ど酔っ払っていなかった。
pandame23
DOODLE備忘録①年齢操作凌澄
35歳凌×15歳澄
15歳になった江澄、初めて親元を離れる寂しさと新しい環境に胸を膨らませ故蘇で机に向かう日々
姉の江厭離が金鱗台に嫁いでから出来た子供ということもあり周りの大人たちから愛され友人にも恵まれ美しく心優しい婚約者もいて慎ましくも幸せな日々を送る。
そんな江澄が気掛かりなのが蘭陵金氏の現宗主金如蘭との関係。
周りの大人たちが自分を蝶よ花よと可愛がってくれる中、金如蘭だけは自分に冷たく当たった。
無理もない。
彼は歳の離れた姉と先代宗主金子軒との子であり、血縁上は自分の甥となる。
突然現れた年下の叔父が煩わしいのだろう。
そう自分を納得させてざらついた寂しい気持ちに蓋をしてきた。
ある日江澄は故蘇藍氏の門弟たちと一緒に夜狩に行く事に。
921姉の江厭離が金鱗台に嫁いでから出来た子供ということもあり周りの大人たちから愛され友人にも恵まれ美しく心優しい婚約者もいて慎ましくも幸せな日々を送る。
そんな江澄が気掛かりなのが蘭陵金氏の現宗主金如蘭との関係。
周りの大人たちが自分を蝶よ花よと可愛がってくれる中、金如蘭だけは自分に冷たく当たった。
無理もない。
彼は歳の離れた姉と先代宗主金子軒との子であり、血縁上は自分の甥となる。
突然現れた年下の叔父が煩わしいのだろう。
そう自分を納得させてざらついた寂しい気持ちに蓋をしてきた。
ある日江澄は故蘇藍氏の門弟たちと一緒に夜狩に行く事に。
紫雨(shigure)
MOURNING先週の凌澄のワンライ用に書いたものでしたが、江澄が可哀想なところで筆が止まって一時間経ってしまったので、とりあえず供養しておきます🙏💦金凌ちゃんがなんとかしてくれる展開を思いついたら加筆してあげます。
お題『西瓜』 蓮花塢の夏は蒸し暑い。
この時期、あちらこちらで蓮の花ひらく様はまるで仙郷のごとき美しさだが、水場が多いということは湿度も高くなるというわけで。蓮花塢の住人の関心は、このじっとりとした暑さをどのように凌ぐかということに向けられるのだ。
厳しく容赦のない宗主が率いる雲夢江氏の弟子たちも例外ではなく、その日は宗主の不在をいいことに、監督者の目を盗んで、修練場から抜け出した数人の少年たちが試剣堂でごろりと寝そべって、床板に涼を求めていた。
「お前たち! 何をやっている!」
「ひえっ!」
ふいに降ってわいた怒声に、少年たちは震えあがる。
苛烈な宗主が帰ってきたかと、顔を見られる前に別の扉から逃げ出そうと少年たちは考えたが、声が違うことに気が付いた一人が、好奇心から振り返った。
1373この時期、あちらこちらで蓮の花ひらく様はまるで仙郷のごとき美しさだが、水場が多いということは湿度も高くなるというわけで。蓮花塢の住人の関心は、このじっとりとした暑さをどのように凌ぐかということに向けられるのだ。
厳しく容赦のない宗主が率いる雲夢江氏の弟子たちも例外ではなく、その日は宗主の不在をいいことに、監督者の目を盗んで、修練場から抜け出した数人の少年たちが試剣堂でごろりと寝そべって、床板に涼を求めていた。
「お前たち! 何をやっている!」
「ひえっ!」
ふいに降ってわいた怒声に、少年たちは震えあがる。
苛烈な宗主が帰ってきたかと、顔を見られる前に別の扉から逃げ出そうと少年たちは考えたが、声が違うことに気が付いた一人が、好奇心から振り返った。
palalanpa
MOURNINGひとつ前の凌澄、おまけ。書きたいとこだけうわああああってやった。
広まってほしいので全体公開。
拒否はしたくなかった話「俺…もう、子どもじゃないんだよ…」
迫りくる甥の顔面に、ひく、と頬を引き攣らせた。
いけない。これは、いけない。
「なっ……え?……え??、ちょ…」
ずいずいと近づいてくる甥から逃げようとするが、行き止まりだった壁に押し付けられ、体の横に両腕をつかれているので逃げ場がない。そのまま、ずるずると下へ下へと下がっていってしまう。
ドサ、という音とともに、とうとう仰向けになってしまった。転がった床板が冷たくて心地よい。
混乱した頭のまま、どうしたら穏便に逃げられるかを画策する。可愛い甥を傷つけずに、しれっと躱す術は無いものか。
そんな江澄を知ってか知らずか、金凌は請う。
「ねえ。名前で呼ばせてよ」
「はぁ?……だっ、だめだ……不敬だぞっ!」
2571迫りくる甥の顔面に、ひく、と頬を引き攣らせた。
いけない。これは、いけない。
「なっ……え?……え??、ちょ…」
ずいずいと近づいてくる甥から逃げようとするが、行き止まりだった壁に押し付けられ、体の横に両腕をつかれているので逃げ場がない。そのまま、ずるずると下へ下へと下がっていってしまう。
ドサ、という音とともに、とうとう仰向けになってしまった。転がった床板が冷たくて心地よい。
混乱した頭のまま、どうしたら穏便に逃げられるかを画策する。可愛い甥を傷つけずに、しれっと躱す術は無いものか。
そんな江澄を知ってか知らずか、金凌は請う。
「ねえ。名前で呼ばせてよ」
「はぁ?……だっ、だめだ……不敬だぞっ!」
紫雨(shigure)
DONE本編終了後、しばらく経ってからの甥(金凌)と叔父(江澄)の話です。恋の前に、愛がある二人。一部ネタバレがあるためご注意ください。
その先の二人の話「叔父上!」
金鱗台での清談会が終わり、暇乞いを告げにきた江澄の姿を認めた金凌は、屈託のない笑みで叔父に手を振った。
いつの間にか江澄の背丈に追いついた金凌は、かつての美少女めいた容貌を脱ぎ去り、すっきりとした目鼻立ちの好青年となっていた。我が儘な小暴君らしさはすっかり鳴りを潜め、まるで人懐こい大型犬のようだ。
金氏らしく華やかな、しかし相応の威厳を感じさせる衣装を身に纏った甥の幼い仕草に、江澄は深く眉間に皺を寄せた。
(怒られる!)
雷を落とす予兆を見せた江澄に、金凌はギクリと身を固くした。
しかし、いつもであれば即座に落とされる叱声が続けられることはなく、代わりに江澄は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた後に、恭しく金凌に対して拱手した。
1869金鱗台での清談会が終わり、暇乞いを告げにきた江澄の姿を認めた金凌は、屈託のない笑みで叔父に手を振った。
いつの間にか江澄の背丈に追いついた金凌は、かつての美少女めいた容貌を脱ぎ去り、すっきりとした目鼻立ちの好青年となっていた。我が儘な小暴君らしさはすっかり鳴りを潜め、まるで人懐こい大型犬のようだ。
金氏らしく華やかな、しかし相応の威厳を感じさせる衣装を身に纏った甥の幼い仕草に、江澄は深く眉間に皺を寄せた。
(怒られる!)
雷を落とす予兆を見せた江澄に、金凌はギクリと身を固くした。
しかし、いつもであれば即座に落とされる叱声が続けられることはなく、代わりに江澄は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた後に、恭しく金凌に対して拱手した。