y_r4iu
DONE合宿の帰り道で運転席交代がてらコンビニに寄る至千です!🏪素敵企画ありがとうございます……最高です!!!
休憩中 がこん、と音を立てて扉を開ける。エンジンがかけられたままの車内からむっと暖かい空気が外に漏れ出し、至はそれを逃がさないように手早に運転席に乗り込んだ。大きな音が出ないようことさら丁寧に扉を閉める。
「お待たせしました」
がさ、と手元のロゴの入ったレジ袋が音を立てる。はい、おにぎりとコーヒー。中身を探り相手に手渡すと、先程まで運転席に座っていた千景は助手席からどうも、と礼を言った。それから財布を取り出そうとするので手で制する。
「いいですよ。ご老体に運転任せきりにしちゃったので、今回は俺の奢りです」
「誰がご老体だ。……まぁ、それならお言葉に甘えさせてもらおうか」
至は満足そうにほんの少し口角を上げ、狭い運転席で身を捩りつつ着ていたコートから腕を引き抜いた。肘が窓にぶつかって思わず痛、と声を上げれば隣からふ、と呆れたような笑い声が聞こえてくる。
1997「お待たせしました」
がさ、と手元のロゴの入ったレジ袋が音を立てる。はい、おにぎりとコーヒー。中身を探り相手に手渡すと、先程まで運転席に座っていた千景は助手席からどうも、と礼を言った。それから財布を取り出そうとするので手で制する。
「いいですよ。ご老体に運転任せきりにしちゃったので、今回は俺の奢りです」
「誰がご老体だ。……まぁ、それならお言葉に甘えさせてもらおうか」
至は満足そうにほんの少し口角を上げ、狭い運転席で身を捩りつつ着ていたコートから腕を引き抜いた。肘が窓にぶつかって思わず痛、と声を上げれば隣からふ、と呆れたような笑い声が聞こえてくる。
y_r4iu
DONEワンドロお題「煙」会社の飲み会に出席する至千
煙に巻く オフィスのあるビルを出て1つ目の角を左に曲がった通りの、横断歩道に面したところにある派手な看板を掲げたチェーンの居酒屋は、いかにも大衆的で猥雑な雰囲気を醸し出している。店内は今時珍しく全席喫煙可能らしい。辺りを見渡せば客の手にまばらにある数本の筒から煙が上へ立ち上り、天井付近は白い靄がたゆたっていた。雑多な銘柄の混ざりあった煙たちは、お世辞にもいい匂いとは言えない。喫煙とは縁のない人生を歩んできた至には特に。
「ビール頼む人ー!」
少し遠くから見知った女性の声がして、至の周囲に座る何人かが手を上げる。店内で一際目立つ、頭数の多い集団の輪の中に至はいた。机をわざわざ繋げてもらわなければいけないぐらいには人数がいて、あちこちで同時多発的に会話が生まれていて騒がしい。目の前には中途半端に箸のつけられた料理たちと、未だ半分ほど残っているビール。すっかりぬるくなって気も抜け、まるで今の至みたいだ。あー、帰りたい。帰って寝転んでゲームしたい。愛想笑いの裏でそんなことを考える。場の雰囲気はすっかり出来上がっていて、盛り上がった空気とは裏腹に気持ちは冷めていくばかりだった。
5320「ビール頼む人ー!」
少し遠くから見知った女性の声がして、至の周囲に座る何人かが手を上げる。店内で一際目立つ、頭数の多い集団の輪の中に至はいた。机をわざわざ繋げてもらわなければいけないぐらいには人数がいて、あちこちで同時多発的に会話が生まれていて騒がしい。目の前には中途半端に箸のつけられた料理たちと、未だ半分ほど残っているビール。すっかりぬるくなって気も抜け、まるで今の至みたいだ。あー、帰りたい。帰って寝転んでゲームしたい。愛想笑いの裏でそんなことを考える。場の雰囲気はすっかり出来上がっていて、盛り上がった空気とは裏腹に気持ちは冷めていくばかりだった。
wabi2keee
PASTぽいぴく、縦書きてすと。いつぞやの短い至千ワンライ
至千ワンライ4月3日『おいで』 至千ワンライ 4/3
お題『おいで』
千景さんが時折放つ『おいで』というセリフには、パターンがいくつかある。
呆れた声でため息とともに言う『おいで』。これは俺が大抵何かやらかした際。片付けができていなかったり、シャツやスボンをソファーの上に脱ぎっぱなしにしていたり、まあその他いろいろ、もろもろ、彼のお説教モードに火をつけてしまったタイミングで低く放たれる。だいたいが腕組みとセットになっていて、形のいい眉がひそめられるのがお決まりだ。
少し静かなトーンの『おいで』。会社での失態や激務、行きたくもない接待続きや無駄に長いミーティング。それらをすべてそつなくこなしながらも、内心穏やかじゃないしHPもMPもごりごり削られてる時に、伸ばした両腕とともに優しく放られる一言。合わせてハグなんかもいただけたりして、疲れも荒んだ気持ちも一気に雲散してしまうチート魔法。
970お題『おいで』
千景さんが時折放つ『おいで』というセリフには、パターンがいくつかある。
呆れた声でため息とともに言う『おいで』。これは俺が大抵何かやらかした際。片付けができていなかったり、シャツやスボンをソファーの上に脱ぎっぱなしにしていたり、まあその他いろいろ、もろもろ、彼のお説教モードに火をつけてしまったタイミングで低く放たれる。だいたいが腕組みとセットになっていて、形のいい眉がひそめられるのがお決まりだ。
少し静かなトーンの『おいで』。会社での失態や激務、行きたくもない接待続きや無駄に長いミーティング。それらをすべてそつなくこなしながらも、内心穏やかじゃないしHPもMPもごりごり削られてる時に、伸ばした両腕とともに優しく放られる一言。合わせてハグなんかもいただけたりして、疲れも荒んだ気持ちも一気に雲散してしまうチート魔法。