然様ならば 街中で、髪型や風体が独特の三人組を見た。一目で分かる、彼らはかつて自分の兄だったものたちだ。
思わず立ち止まって、笑い合う三人がどこかへ歩いて行くのを見送る。ああ、今生では呪物になることもなく人の子として生まれおち、何に縛られることもなく生きているのだろう。それがとても眩しく感じられて、思わず目を細める。
「――よかった、幸せそうで」
呼び止めることも一瞬考えた。しかしせっかくの兄弟水入らずの時間に水を差すのも気が引けて、俺は再び駅を目指して歩くことにした。この地に訪れたのはたまたまで、用がなければ来ることもない場所だ。再び会うことも、恐らくはないだろう。それならば。
「そのまま、何も思い出さずに、幸せになってくれよな、兄貴」
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