付き合ってる前提アサアカ小説「あの、兄さん…。最近悩みでもありますか?」
いつも通り朝にコーヒーを入れていた時、眉を八の字にしたアカネにそう言われた。
「無いけど?あるように見えた?」
言葉通り、何も悩みなんて無いし、大会も終わったからすぐ近くには無い。最近はきちんと寝ているし。何が、いつもあまり発さないアカネが話し出すほどそんなに悩んでいるように見えるのか。
「見えた、というか…、その、」
「うん」
こういう時は急かさないでゆっくり聞いた方が、アカネは詳しく教えてくれる。
「兄さん……。さい、きん?、夜のあれ、誘わなくなったじゃ、無いですか…っ//」
「えっ……?」
聞いた直後、一瞬時が止まったかと感じた。コーヒーをシンクに落としたので実際には止まってないけれど。アカネが?僕に冷たくしていたアカネが、5日間夜に誘われなかっただけで僕に話し出すと?頭が良く回らない。今わかるのは、アカネがそういった事と、言った本人が顔を真っ赤にして下を向いていること。
「な、なにかいったらどうなんですかっ……、」
「あっ、あ、うん。明後日、アカネの試合があるから1週間は手を出さないでおこうかと……」
「そ、そんなの余計なお世話ですよっ、…。僕が兄さんに触れられなくてどれだけ寂しかったか……。」
「ごめんね。じゃあ今日の夜は来ていいのかい?」
こくり、と顔を真っ赤にしながらアカネが答える。アカネをひとりぼっちにさせてしまったし、
「分かった。じゃあ夜、アカネの部屋に向かうね。」
「いや…、あの、兄さんの、部屋がいいです…っ」
「?、そうなの?いいけど…。僕が寝てるところだよ?嫌にならない?」
「嫌どころか、それがいいんですっ、兄さんに包まれてる感じがするので……。とりあえず夜兄さんの部屋に行きますから、待っててください…!、もう学校遅れるので着替えます!」
そういったアカネは早歩きでリビングを出ていった。
この落としたコーヒーをどうするか、それとも夜アカネをどうするか考えるか、究極の2択になったな。と変な事を考えながら僕はコップを拾った。5日分だし、今日の夜は長くなりそうだ。