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    ブラウン

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    ブラウン

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    エリックさんがひたすらアラン隊長の良さをプラ様に報告するだけのお話しです。
    アラン隊長ひまわり畑似合い過ぎるし、走り回るアラン隊長が見たいなと思いながら書いてました。

    最終修正日2024.12.9

    ひまわりの贅沢「ひまわり狩り大会ですか?」
    エリックのお土産話にプライドはソファから腰を捻り、その目を大きく開いてキラキラした眼差しを向ける。隣には同じ表情のティアラもプライドの腕に自身の腕を絡めてエリックに注目している。
    アランとエリック率いる一番隊が遠征から帰って来たのは昨日だ。午前はエリック、午後はアランが近衛騎士の任に付いている。
    「ええ、とても広い畑の収穫時期に農夫が腰を痛めてしまって。そこで一番隊の僕達が代わりにひまわり狩りをしたのです。誰が一番狩れるかアラン隊長が張り切ってひまわり狩り大会になりまして、勿論優勝はアラン隊長でした」
    「まぁ!アラン隊長らしいですね」
    「アラン隊長の体力なら一人でも狩りきってしまいそうですねっ!」
    エリックの話にプライドは面白そうに口を手で隠し笑い、同じく興味津々に聞いていたティアラもアランの力強さにプライドの腕に密着し可笑しそうに笑った。
    王女2人に自身の尊敬する隊長の功績を直に伝えられ、それを屈託ない笑顔と言葉で褒められる事がどれだけ贅沢か、エリックは心に灯る火がじんわりと温かくなる喜びを感じていた。
    「アラン隊長はひまわりの花がよく似合いそうだから私も見たかったわ」
    「本当ですね!今度は庭園のひまわりの花を持ってもらいましょうか!」
    「まぁ、それはとても楽しみね!」
    王女との軽い雑談は近衛騎士に付いた最初こそ緊張したが今では近衛騎士の任の楽しみの1つになっている。しかも今は王女2人がアランの凄さに話の花を咲かせている。そんな贅沢な光景にエリックの頬が緩む。
    エリックは実際にひまわり畑で大笑いするアランも、そのままひまわりの花の束を余裕で腕いっぱいに持って走るアランも見ている。2人が言う通りアランにひまわりはとても似合っていた。ひまわりが一番似合う騎士はアランだとエリックも確信している。
    庭園にも咲くひまわりをアランが持つのもいいだろうが、やはりプライド達にもあのひまわり畑での屈託なく笑いながら無邪気に駆け回るアランを見て欲しいなと思う。
    アランが一番隊隊長を任されているのはその強さだけではないのだというところをもっと知って欲しい。

    男らしく、かっこよく、頼りになるアランと言う騎士がどれだけ騎士団に必要とされているのか、どれだけ自分たちを魅了しているのかを。

    だからこそ今日の朝アランが「早くプライド様に会いたい」と大騒ぎしてカラムに「後輩に絡むな!お前は今から隊長議会だろ!」と拳骨を貰い引きづられて行ったことは2人には黙っていようと決めた。
    エリックからすれば自分の欲を全く恥ずかしがらずに主張出来るところもアランの魅力ではあるのだが、それを御本人を前には言えない。

    「その後は収穫した花を干したり、油を取ったりもしまして、農夫に大変喜ばれました。お礼にと食用のひまわり油や石鹸を大量に渡されそうになったのは困りましたが、そこもアラン隊長が説得してくれました」
    折角の販売商品をただで貰うわけにはいかないと、アランの提案で個人で購入という形になった。その結果騎士の殆どが自分や家族のお土産として購入し、農夫が渡そうとした倍の商品を購入する事になった。手伝いのお礼がまさかの購入になった事に農夫は最初こそ戸惑っていたが、騎士団は王家の直属だ。だからこそ民に尽くすのは当たり前であり礼に対価を貰うことは出来ない。
    それを自分が説明し納得して貰ったことは言わない。
    「とてもいい商品ばかりで母にプレゼントしたところとても喜ばれました」
    「エリック副隊長は何を買われたのですか?」
    「先程話した食料油と石鹸です」
    「わぁ!エリック副隊長のお母様もそれは大変喜ばれたでしょうねっ!」
    ティアラの言葉にエリックも頷く。
    「アラン隊長は食料油を大量に買って騎士団の食堂に寄付してました。あれでプライド様に頂いた揚げ物レシピを作って貰うと今とても上機嫌です」
    「それは私も嬉しいわ!騎士の皆さんがあのレシピを喜んでくれてるなんて!」
    「はい!いつもその日は食堂は大盛況です!僕もいつも楽しみで!!それから頂いたレシピは家族もとても喜んでくれました。改めてありがとうございました」
    家族に振る舞ったレシピもとても美味しいと大絶賛だった。母にレシピを見せれば喜んで定番に加えてくれた程だ。プライドには前もお礼は伝えたが何度でも言いたくなる。
    「そんな、改まることないですよ」とプライドは笑顔で首を振る。
    もっと欲を言えばプライドにもお土産をプレゼントしたいと思った。油の他にも美容用品はあり、恋人や奥さんにと買う騎士も多かった。
    アランも1セット買ってるのを見た時は『まさかプライド様に?』と思ったが、今日カラムからひまわりの香りがしてたからそっちかとホッとした。
    いや、アランの性格からプライドに買ったもののカラムに止められ没収されたとも考えられる。アラン自身が使う事は無いからカラムに渡った、が正解だろう。
    いくら近衛騎士だとしても王族であるプライド様にプレゼントなど出来ない。
    それが残念で仕方ない、と贅沢なことまで思ってしまう自分に苦笑する。

    「私はエリック副隊長もアラン隊長も他の騎士たちも無事に帰って来てくれたこと、民を助けてくれたことがとても嬉しいです」

    プライドは1つ息を吐いて背を正す。
    ティアラもそれに習いプライドの腕を放し同じ体勢を取る。
    プライドはゆっくりとエリック、そして直立不動で隣に立つハリソンにも目を向けた。
    エリックもハリソンも突然の事に目を見開きながらも背を伸ばしてプライドの言葉を待つ。

    「エリック副隊長、今回の遠征も民の為に汗を流して下さりありがとうございます。私個人として今回の件、一番隊の皆様に感謝を致します」
    「はっ!有り難い言葉、身に余る思いです!!」
    今回の遠征は騎士として剣を振るわなかった。
    困っていた民を助けたと言っても畑の収穫など銃弾飛び交う戦場での命のやり取りに比べればたいしたことは無い。身体を動かすいい機会に恵まれたとすら思った程だ。

    それでもプライドは喜んでくれる。

    だからこそこの人のいる時代に騎士になれて、そして近衛騎士に付けたこと、そしてこうして話を出来る事、直接礼を貰える事を光栄に思える。
    新兵になった時などこんなにも贅沢な時間を過ごすなど思ってもいなかった。
    自分が今どれだけ幸せかを忘れない為にも噛みしめる。

    「ハリソン副隊長」
    「はっ!」
    ハリソンは隣でエリックの話を聞いていただけの自分に何か用事があるのだろうかと身構えながらプライドを見る。
    プライドは微笑みながらハリソンと同じ紫色の目を合わせる。
    「私は一番隊だけでなく騎士団全員に感謝しています。いつも皆さんが民の為に命を掛けて下さり、それだけでなく困っていたら手を差し伸べてくれる。今回は一番隊でしたが、それは八番隊、そして他の隊も同じと思っています。私はここでそのお話しを聞き、感謝を述べるしか出来ませんが、本当にいつもとても感謝をしています。ですのでハリソン副隊長も遠征後は私にどんな事があったのか教えてくれたらとても嬉しいです」
    ハリソンは珍しく瞬きをする。
    言葉は理解出来るがその真意は分からない。
    民を守る助けるのは騎士として当然である。そしてそれは王族の名の下に行われる。つまり騎士が助けた民は王族が助けたも同等、騎士の功績は王族の功績である。
    だからこそここでプライドが個人的にエリックに礼を言う必要はない。そしてエリックはその礼を受け取るべきでは無いとすら思っていた。

    それでも「ご要望でしたらそうさせて頂きます」
    と身体の前に手を出し頭を下げた。
    プライドの側に居ることは他の近衛騎士よりも短いハリソンだが、プライドという王族はそういう人間なのだろうと判断した。
    実力は自身の方が上であるのにエリックとカラムが近衛騎士に選ばれた理由は今も知らない。だが2人は上の者に対しての礼儀に関しては間違える人間ではない。ならば自分がとやかく言うことでは無い、と考える。
    ハリソンの言葉にプライドもそしてティアラとも満足そうに頷いた。


    楽しそうに話す王族の姉妹の後ろ姿にエリックは思う。

    何処までも高い高い青の強い空
    地を黄金に敷き詰めた満開のひまわりの絨毯
    その2色が交わる地平線

    何処までも続き、何処までも行ける気がした光景は今も目に残っている。
    男の自分ですらその光景には感動し、黄金のひまわりを刈ってしまうのが勿体ないと残念にすら思えた。あの光景をプライドに見せれたらもっと喜んでくれただろう。

    輝く黄金の絨毯、青い天井、靡く真紅の髪の王女がそこに立つ。
    それを想像するだけで心臓が大きく打つ。

    プライドにはこの国の綺麗な景色を誰かの言葉ではなく自身の目で見て感動して欲しい。
    この国のお姫様、王女、そして誰よりもこの国を民を愛する次期女王なのだから。
    そんな美しいプライドの見る景色は綺麗なものばかりにしたい。
    その為に自分達には出来ることがある。
    その事に幸せを抱きながらぐっと背中に回した手に力を入れる。


    この幸せを自身の手でずっと守る事が出来る今の立ち位置がやはり一番の贅沢だと気合いを入れ直した。







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