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    ブラウン

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    ブラウン

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    アラ+カラ
    暗くは無いですが、シリアスかな?
    ⚠灯籠流しと花火があるという設定捏造してます。
    そしてアラン隊長の解釈が大きく外れている可能性もあります。ご注意ください。

    2人には王族を守る騎士でありながらも騎士団の仲間を守る騎士であって欲しい。

    蝋燭の灯りに下を向き、天の光に上を向く灯籠流し


    死んだ者は戻らない。
    だからこそ命は尊いのだ。
    そう、だからこそ死んだ者達を伴うこの日は特別だ。

    「ここにいたのか、アラン」
    「ん?来たかカラム」
    夜も暮れ周りも暗くなり、ぼんやりと川を流れる灯りを見ていたアランに話しかけた。
    城下を見晴らせる丘の上、彼はこの日はいつもここから見ている。
    今日は灯籠流し、強制参加でないのに騎士のほとんどが参加する夏の大切な行事。
    死者を弔うためにおこなわれる灯籠流しはとても美しく、とても物悲しい行事だ。
    死者の魂は川を下りあの世へ行くとされ、蝋燭の火は闇を照らしながら道に迷わないように導いているとされている。
    「お前は流したか?」
    「ああ」
    アランの言葉にカラムは短く答える。
    「エリックとアーサーも参加していたよ。二人共まだ私の知る名前は書いてなかった」
    「そうか」
    死者の名を紙に書く。
    まだそこに二人共カラムの知る名は書かれていない。
    「俺もお前も今年も流す側のままでいられたな」
    「ああ。お前のお陰でな」
    「お互い様だ」
    軽いやり取りでも内容はとても重い。
    ロデリックが団長になり劇的に死者は少なくなった。
    プライド様が騎士団を救ってからはゼロをキープしている。
    このままずっとそうであって欲しい、それが我々騎士の総意だ。
    特にエリック達以降の新兵と騎士達には。
    自分達が味わって来た悲しみと憤り、もうあんな思いは彼らにさせたくない。
    「ここからよく見えるんだ。俺の好きなものがさ」
    「ああ、そうだな」
    川を流れていくほのかなオレンジ色の列、王都と城下の生活の光、穏やかに流れる時間。
    私達騎士が守っているものであり、これからも守っていくものである。
    そして目を後方に向ければ大きく立派な城が全てを見下ろすように建っている。
    あそこに我々が一番守りたい者がいるのだ。
    彼女がいてくれるだけで我々は強くなれる。
    私もアランももう2度と死ぬことはないように日々鍛錬に励んでいる。
    「な、もし俺が死んだらここに埋めてくれ」
    アランの言葉に一瞬奪還戦のあのことが頭に過ぎりドキッとするもすぐに息を吐く。
    「はぁ〜、それエリックやアーサーに聞かれたら泣きながら怒られるぞ」
    「だからお前に言ってんだろ」
    なんて事もなく言うアランには何を言っても意味はない。
    私だって死ぬ気は一切ない。
    だが、
    「ならば私もその時はここに墓を建てよう」
    「だはは、死んでもなお隣にいるのか」
    「不服か?」
    「いんや、俺達らしいんじゃね?」
    「また適当な」
    「いやいや本当に」
    私達にとって死はいつも隣にある。
    嫌というほど見てきた。
    誰も死にたくて死んだわけではない。
    どんなに強くても、どんなに努力しても、我々は死から逃れることは出来ない。
    私も瓦礫の下敷きに、アランは腹に穴を開けてなお今も生きているのは本当に偶々が重なったからに過ぎない。
    「でも心強いよ、どんな時でもお前が側にいんのは」
    そういうアランの顔は楽しそうに川を流れて行く灯りを見ている。
    無理しているのはいつもの事だ。
    アランは死の直前まで行ったのだから、今年の今日、何も思っていないわけではない。
    それでもそれを見せないのがアランの強さだ。
    (私の前でくらい甘えていいのに)
    いつもこの明るさに助けられているのは私の方なのだからというムカつきもあるが、それがアランという人間なのも長い時間一緒に過ごして分かっている。
    私の助けも必要とせずに一人で上を向けるのがアランという騎士なのだ。
    ならば何故私がここに来たかと言えば、アランは私を必要ともしないが邪魔にもしないだろうという驕りだ。
    私が居たいと思ったから来ただけに過ぎない。
    「なぁお前早くアレになれよ」
    「はあ?」
    突然何を言い出すか、全くの脈絡もない。
    「そしたらさ、この国は更によくなるって」
    「私にそんな力無いだろ。ただの騎士だ」
    もうすでにアレを否定する気にもならない。
    「いやいや、騎士団だってお前が居てくれるだけで変わったしさ、お前はお前がしたいことをすればそれだけで影響力あんだよ」
    「騎士団が変わったのはロデリック団長とクラーク副団長がいたからだろ」
    「うーん、そうだけど。お前の存在も大きいんだぞ?」
    「存在力ならアランの方だろ」
    エリックを筆頭にアランを慕う者は多い。
    そしてアランは後輩だけでなく先輩にも好かれいつの間にか騎士団の中心に立っている。
    そんな男に存在力を言われるのは飽きれしか出て来ない。
    「まぁお前はそうだよな」
    頬を掻きながらアランは私を見る。
    「やっぱりお前プライド様に似てるよな」
    「な!?どこがだ!!」
    あれほどの素晴らしい方と私を同等に見る不届き者などアランぐらいだ。
    「そんな不敬な事を2度と言うな!!」
    まず「やっぱり」とは何だ、まるで前からそう思っていたみたいな言い方に頬が赤くなる。
    あの御方を知れば知るほど自分の中の求めていた王の理想像そのものだと痛感させられる。
    よく知りもせずにずっと王族と言うだけで興味も無かったことを恥じいた。
    そんな御方の隣に私が立つ等烏滸がましい。
    私は騎士としてあの御方に仕えることが出来ればそれだけで幸せなのだ。
    それはアランも同じだというのに。
    アランはプライド様を王と見ていても、あくまで騎士のように剣を持ち戦いロデリック団長を救ったあのプライド様を今も慕っている。
    あの日見た恐ろしいほどの美しい光景は今も我らの目に焼き付いているのだから。
    「ッ!?」
    そこで理解してしまった。
    その途端頬が先程とは比べようもなく熱くなるのを自覚すれば、悔しいのとムカつくのと恥ずかしいのとがごじゃまぜになりアランを睨みつけた。
    「あはは、な?似てるだろ??」
    「うるさい!!どっちにしろ不敬だ!!」
    そう、アランはプライド様を騎士として見てもとめている。
    たった1人の民を守る為に剣を取り敵に立ち向かう騎士として。
    それは私の理想とする騎士像であり、だからこそ私が常にそうして来た事をアランは勿論知っている。
    つまりはそれが似ていると言っているのだ。
    自覚があるからこそ、言い返せない。



    真っ赤な顔にムカつくと書きながらも手は出してこないところを見れば、カラムも否定は出来ない自覚はあるのだろう。
    それだけで似ていると言っているわけでは無いけどな、と思いながらアランは目線を川と城下へ戻す。
    ここに来るととても心が穏やかになる。
    本当にここに墓を建ててくれたらいいかもなと思うほどに。
    そしてその隣にコイツがいればそんな贅沢な死後なら何も怖くないと思わせてくれる。
    勿論プライド様の未来を見れないのは嫌だし、コイツや他の騎士たちと未来を共に出来ないのは絶対に嫌だと思う。
    だが、死は確実に隣にいる。
    奪還戦でコイツを庇って死にかけた。
    それに対して後悔はない。
    死ぬのであれば誰かを庇って死ねるなら騎士として立派な最後だ。
    それもそれがプライド様やカラムの様なこの世界に必要とされている人であれば尚の事だ。
    騎士達には無責任にカラムの背中を押すなと言われるものの、俺はカラムであればいい王配になると思っている。
    騎士を辞めなきゃいけないなら押さなかったが、ティアラ様が王妹になられる事が決まった今、背中を押さない理由はない。
    器用なカラムであれば王配と騎士両方を両立させられる、そしてプライド様を大事にしてくれるという確信がある。
    勿論プライド様もカラムを想い大事にしてくれると分かるからこそだ。
    ロデリック団長もクラーク副団長も素晴らしい方々だが、カラムだってそうだ。
    コイツが動けば俺達騎士は皆の心が救われる。
    それはロデリック団長とクラーク副団長が出来ることではない。
    勿論俺もだ。
    俺は自身の右手を見る。
    あの人に救われた。
    俺もカラムも今も騎士を続けられるのはプライド様のお陰だ。
    大怪我させちまったのにも関わらず一介の騎士にキスをくれるなんて、そんな王族が何処にいる?
    プライド様だけだ。
    そしてプライド様だからこそ俺もカラムも本気で惚れたんだ。
    あの方の為なら右手も命も何の躊躇もなく捧げられる。
    それはコイツも同じだ。
    なら迷う必要、あるか?
    「な、カラム俺たち騎士は一番守りたいものの側に居られないだろ?」
    「……………そうだな」
    我々騎士が一番守りたいもの、その殆どは家族、一番身近な存在だ。
    だがその家族を一番側で守る事など我々は許されない。
    許される理由はない。
    それは我々は王族に忠誠を誓う騎士だからだ。
    王族の為の騎士なのだから国を、そして王族を守る事が先決だ。
    「なら迷う必要なくねぇ?」
    プライド様と婚姻すれば家族となる、そしてそれは家族を一番側で守れるという超絶過ぎる特権を得られる、それは騎士としての一番の理想だ。
    「だからお前は短絡的過ぎるだろ!」
    「そうか?」
    その方法が今目の前にあるというのに何を戸惑っているのか、でもだからこそカラムが選ばれたんだろうとも思う。
    何も考え無しに動く奴でないからこそプライド様も王配としてのカラムに期待しているのではないかと思う。
    視野が広くて思慮深いからこそ、今では騎士団の心の支えなのだから。
    本人は全く気付いてないけどな。
    「おっそろそろ花火の時刻か?」
    辺りも暗くなり、時計を見なくても祭り会場が騒がしいのを見ればそろそろかと予測がつく。
    「そうだな。ここで見るのか?」
    「うーん、そうだな。お前はいつもの様に三番隊とこ行くのか?」
    三番隊はいつもいい場所を確保している。
    勿論カラムが行けばアイツらも喜んで一番いい席を空けるだろう。
    「いや、今日はここで見ようかと思ってる。今から行っても気を使わせてしまうだろうし」
    アイツらはお前と見たがってるぞ、そう思いつつも言わないのは俺が今はコイツと居たいからだと自覚して頬をかいてしまう。
    王族の大規模な花火大会とは違い、小規模で慎ましさすら感じさせるこの花火大会はいつもここで静かに見たいと思ってしまう。
    ただ今年はカラムがいるなら2人で見たい。
    今年は見れなかったかも知れないのだから。
    独りで見たらもしかしたら自分は死んでいて、だからここで独りで見ているのだと錯覚を起こした様な気もする。
    そんな事を考えるのは俺らしくはない、だからこそそんな考えを払拭する為に毎年の様にここに来たというのに、わざわざいつもは三番隊と見ているカラムも来た。
    俺なんてほっときゃ勝手に元気になんのに。
    俺なんかよりもお前を必要としている奴はいっぱいいるのに。
    俺よりも皆と見たほうが楽しいのに。

    本当に面倒見がいいというか、お節介というか、本当に人の触れられたくない場所をこれでもかと触れてくるから困ったものだ。


    本当に、似てんだよ、2人は。


    「あー、寂しいな」
    「いきなりなんの話だ?」
    「あー気にすんな、こっちの話だ」
    散々プライド様とくっつけと言いながらも、今はまだこのまま騎士団だけのカラムでいて欲しいとも思う。
    プライド様と一緒になれば騎士団にいる時間は一気に減ってしまうのだから。
    「あープライド様の料理食いてぇ……」
    「脈絡も無く言葉を出すな。しかも不敬な言葉と取られかねないぞ」
    「だってよ、今猛烈に食いたくなったんだから仕方ないだろ?」
    「あと5日待て。そしたら鶏の唐揚げが夕食に出る」
    「まじ!?やった!!流石カラムよく知ってんな」
    「お前は私を便利ツールか何かと思ってないか?」
    「さて、そろそろだな」
    「話を流すな!!」
    「まぁまぁ」


    ヒュ〜ルル〜〜〜〜〜ドォォォ〜ン


    笛の音と大砲のような大きな音と共に真っ暗になった夜空に大輪の花が咲いた。

    笛の音と共に上がっては消えるを繰り返す光の花。

    話も忘れ2人はそれを見上げる。
    鎮魂の願いを込められて上げられるその花火は悲しい程に派手さはない。
    それでも
    「美しいな」
    「ああ」
    カラムのつぶやきに返した。
    いつか、自分達も祈られる日が来るかも知れない。
    騎士は皆一度は経験している死の淵。
    偶々が重なり生き残れた者の方が多い。
    だからこそ考えてしまう。
    「もう誰の名前も書きたくねぇ」
    「勿論だ」
    俺達は隊長だ。
    多くの騎士の命を背負っている。
    だからこそ出来ることがある。
    俺がカラムに拳を掲げる。
    カラムも意を汲んで軽く手の甲を当てた。


    来年もまた1人の犠牲者も許すな。


    それが我らの王、プライド様を守る最低限の絶対条件である。


    死の淵を知っているからこそ、天に咲く花を見上げ心に誓う


    ──もう、誰も失わせない。
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