紅篝火花に酔う「杉下さんは、杏西さんたちと一緒にあちらをお願いしても良いですか?」
「ん……」
「おーし、行くぞ杉下ぁ!」
「ついてこーい!」
短い返事と共にこくりと頷いた杉下さんは、そのまま杏西さんと栗田さんに引きずられるようにして連れていかれ、不機嫌そうな顔はしているけれど、以前よりも深くみなさんの輪に入るようになった姿にオレはこっそり感動を覚えていた。
桜さんに対して、羨ましいという気持ちを抱いたことを自覚した杉下さんは自分の世界を広げることができたらしく、梅宮さんとも少し話した、と一言だけ報告をくれた時は相談をされた時よりもびっくりしたけれど、さらに多聞集一年の絆が深まりそうな期待に胸が膨らんでいく。
「にれ君、」
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