悪食 しゃらり。不意に輝きが網膜を焼く。わたしを呼ぶ、レディー・キラーな甘ったれた声。視線を向けた先、まばゆいネオンライトに照らされたターコイズブルーに深みがかかって見えて、鮮やかな色彩が途端に怪しげな雰囲気をまとっていた。
「ね、小エビちゃん……オレと一緒にイケナイコトしよっかぁ……♡」
◇◇◇
わたしの人生の半分は不運でできている。
一番の不運はこの奇妙なツイステッドワンダーランドとかいう場所に飛ばされたこと。次の不運は魔法という不思議パワーが当たり前のように生活のそばにあって、けれどわたしにはその不思議パワーはなかったこと。不運は続いて、なぜかトラブルに巻き込まれやすい体質だったこと。なのに、わたし自身は秀でたところはなく、むしろ少し要領が悪いと言われるくらいだった。
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