鮮やかな赤色のドレスに身を包んだ少女がくるりと回れば、背中まで伸びた黒い髪がふわりと広がった。おぉ、と声を上げながら裾をヒラヒラと揺らしている少女の姿に小鳥は椅子から立ち上がり隣に並ぶ。
「似合ってるわよ遊馬!」
「へへ、ありがとな!」
遊馬と呼ばれた少女は長年付き添ってくれている幼馴染からの真っ直ぐな賛辞を受けて恥じらいの笑みを浮かべる。
本当に、よく似合っているわと笑う小鳥にとって今の遊馬の姿は何よりもかけがえのないものものだ。
一年前、相棒であるアストラルと共に世界を救うため中学一年生が背負うには重たすぎる運命を背負ってボロボロになりながらも前に進むしかなかった少女が、可愛らしいドレスに身を包み笑っている。
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