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    あおかぶ

    @ao_frnt_kbrr02

    パシナシ二次創作中心。
    Xにポストしにくいものやラクガキなど置いてます。

    ※R18作品は18歳未満の方は閲覧しないようお願い致します。

    🗝パスワード→パーシバルとナシエンスの誕生月を数字4桁で。

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    あおかぶ

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    パシナシ 小説
    153話で妖精界から旅立ち、リオネスに向かうお空での二人の会話のやり取り妄想…というかパ目線でパ独白に近い。ナシの心理描写はナシ。パのいつになったら~?とどっちも気になるなぁ…のいくつかある解釈のうちのひとつを拙いながらも書いてみた。実は7/2にこっそりXにあげたものを微修正。変な文脈あると思うので優しく広~い心で見て下さい😊

    The day a little love was born. 大切な仲間─ナシエンスが死者の国に旅立ってしまうその瞬間、二年の月日を経て、僕は目覚める事が出来た。
    宿敵アーサー王の配下・白い騎士ウォーラルダンを撃退させた僕達は、お世話になった妖精王様と巨人の女王様─ナシエンスのお父さんとお母さん、兄弟達に別れを告げて妖精界を旅立った。
    ─新たなる旅立ち。新しい冒険へ。
    二年前は神の指をたったひとりで旅立った僕だけど、今はナシエンスがいる。僕の大切な仲間。
    アーサー王を倒し、ブリタニアを救う。大好きな仲間達、妖精王様達やリオネスの王様や王妃様、オルドじいじにドロレスさん、ドルチョモンテ達やハウザーさんやぺリオさん、アンのお父さん、他にも沢山守るべき人が増えた。その人達が生きるブリタニアを守る。今度こそこの手で。必ず大切な人達を。
    その意志を胸に深く刻み、僕は大地を思い切り蹴り、空へ飛び上がった。体に感じる心地良い風。体があるからこそ感じることの出来るこの爽やかな空気の懐かしさを僕は噛み締めた。
    「よーし!まずはドニーとアンに合流しようよ!!」
    「そ…そうですね…。」
    「二人共きっと僕のこと怒っているんだろうな~。」
    「そ…そんなことは………。」
    「わっ」
    ぱしっ
    ふらつきながら飛行していたナシエンスの手を握り締める。
    ……もうちょっと早く気付けば良かった。ナシエンスは飛べるようになったばかりなのに。
    人間だと思っていたナシエンス。
    僕と同じ、血の繋がってないじいじに育てられたナシエンス。
    実は妖精王様と巨人の女王様の子供で、次の妖精王様。ナシエンスは継がないと言っていたけど。
    びっくりしちゃったよ。でもナシエンスはナシエンスだから。それはきっと生命の精霊である僕が僕であるのと一緒。生まれも育ちも関係ない、僕達は僕達ということ。キミが言ってくれていたよね。そうだよね、ナシエンス。
    「す…すいません。 まだうまく飛ぶコツが掴めなくて。」
    少し申し訳なさそうにナシエンスは言った。
    そんなこと気にしなくていいのに。キミはすぐそうやって気を遣うよね。
    「えっへっへっへっ。 じゃあ慣れるまでつないでよっか?」
    小さな手。こんなにキミの手は小さかったっけ。それとも僕の背が伸びて手も大きくなったからそう感じるだけなのかな。
    するとナシエンスは僅かに俯いて沈黙し、それから僕をしっかりと見ながら言葉を紡いだ。
    「パーシバルとまたこうして一緒に冒険できることがたまらなく嬉しいです。」
    優しく微笑みながらそう言った。
    「うん、僕も!!」
    僕も心からそう思い、ナシエンスに言葉を返した。
    ナシエンスの優しい笑顔が眩しくて、僕は心に温もりを感じた。
    ─あんなに嬉しそうに言ってくれるなんて。
    僕は信じつづけてくれたキミや仲間達を身勝手に置き去りにして、キミを何度も裏切って傷付けて悲しませてしまったのに。許されないことをしてしまったのに。
    でもキミは空の上で煌めく太陽に負けないくらいのキラキラと輝く眩しい笑顔でそう言ってくれた。
    優しすぎるキミ。
    大好きで大切な仲間のキミ。
    キミの小さな手から柔らかな体温が伝わる。……とっても心地良い。
    ─このままずっと手をつないで行ければいいのに─
    そこで気付く。
    そうだ、僕はナシエンスの事を大好きで大切だと思ってるけど…ナシエンスは?
    囁きのトンネルでのナシエンスとティオレーの会話を思い出した。
    『ナッシーは大好きなのね 。パーシバルのことが!!』
    『は…はい…。』
    ナシエンスは頬を赤らめてティオレーにそう言葉を返していた。
    ……嬉しいな、僕の事大好きだって。キミも僕と同じように大好きと想ってくれている。
    ……沢山酷いことをしたのに…。
    ティオレーが言ったように、僕を想ってくれるキミや仲間達を自分勝手に置いていってしまったのに。
    …後悔の念が喉元をキュッと締め上げたような気がして僕は息苦しさを感じた。
    ティオレーが言っていたから知っている。無性のキミは恋をすると男か女になる。つまり無性のままのキミは「恋」というものはまだしていないってことだよね。
    「大好き」─これは色んな種類があるんだって知った。
    恋愛、愛情、家族愛、友愛、友情…。
    僕は「恋」以外の大好きは分かる。じいじへの大好き、ナシエンス、ドニー、アン、ランスロット達への大好き。
    「恋」はまだ全然分からない。
    僕もいつかするのだろうか、「恋」を。
    ナシエンスは「恋」ではない、どれかの大好きという気持ちを僕に対して持ってくれている。
    じゃあナシエンスもいつか「恋」を誰かにするのだろうか。
    その気持ちが芽生えたら、ナシエンスは男か女になる。男に恋をしたら女に、女に恋をしたら男に。
    キミ自体は何も変わらないけど、キミはその「恋」というもので体を変えてしまうんだね。
    ……何故だろう、それが少し寂しかった。男でも女でもナシエンスであることは何も変わらない。きっと同じように今まで通りに一緒に過ごせるんだ。大切な仲間なんだから。でも何でだろう。
    …ナシエンスの何かが変わってしまいそうな気がして僕はそれが少し怖かった。
    「恋」─それはどういう「大好き」なんだろう。
    いきなりその気持ちがあらわれるのかな。それとも抱いてた「大好き」な気持ちが「恋」に変わるのかな。それとも元々持っていた大好きな想いが大きくなって「恋」になるのかな。
    ─始めはただの仲の良い友達のような旅仲間、新たな場所や街で出会った子達が共に苦難を乗り越えて、僕にとっての「心から信頼し人生を共に歩む大事な誰か」となったように。僕にとってかけがえのない存在となった三人のように。
    ナシエンスが僕を大好きと想ってくれる気持ちは「恋」じゃない。それはキミの性別がはっきりと教えてくれている。
    僕は全然分からない。知らない感情だからこそ知りたくなる。すごい興味がある。知りたくなるよ。きっとすごくキレイであったかい気持ちなんだと思うから。
    きっとじいじだって僕は知らない人だけど結婚して奥さん…おばあちゃんがいたんだし、妖精王様と巨人の女王様だって恋をしてその人と家族になりたいと思って夫婦になって、沢山の子供達と一緒に仲睦まじく生きているんだもんね。
    きっとそうなりたい気持ちが「恋」なんだよね。やっぱりキレイだしあったかい。
    「恋」の好きと僕達が抱く「大好き」は何が違うんだろう。
    なんでその感情が生まれるんだろう。ナシエンスは体が無性でも僕と違って「恋をする」こと、それが分かるのかな。
    恋の気持ちが生まれて大好きが恋になって。
    キミが僕に抱く「大好き」はいつかは変わるのかな。「恋」というものに。どうやってなるのかは分からない。いつなるのかも分からない。それはキミにしか分からないこと。
    なるのかな。なってくれたら嬉しいな。キレイであったかいその気持ちをキミが僕に持ってくれたら嬉しいな。だってさ、僕ね、仲間の皆よりキミへの大好きな気持ちが大きいんだよ。ドニーとアンにはなんかごめんね…と言いたいけど。もちろん二人のことも僕は大好きだよ。でも…。初めてかもしれない。誰かへの大好きに差が出来ちゃったこと。
    「ところでナシエンスはいつになったら男か女になるの?」
    僕のことを大好きだと想ってるキミはいつになったら"恋をして"男か女になるんだろう。その大好きな気持ちは"いつになったら"変わるのかな。"いつになったら"大きくなるのかな。それとも現れるのかな。それとも大好きな仲間だから何も変わらないのかな。キミなら分かるの?ナシエンス。だから思わず聞いてしまった。
    その気持ちが恋なら、僕は身体が男だからキミは女になるのかな。
    でも僕は生命の精霊だし…。男になるかもしれないのか。それはちょっと僕でも分からない。
    キミは今も無性のまま。やっぱり僕への気持ちが「恋」じゃないからなのかな。やっぱり違う「大好き」なのかな。大好きなのに何が違うんだろうね、ナシエンス。難しいんだね。「恋」って。
    「あ…あの…!!!パーシバルならどっちならいいと思います…?」
    ナシエンスは珍しく大きめな声を出し僕にそう言った。
    「う~~~~~ん。どっちも気になるなぁ~。」
    …僕は悩んだ。もし僕への大好きが恋なら、本当にどちらになるのか分からないし…。
    男の子のナシエンスも女の子のナシエンスも気になるし。
    どういう風になるのかな。キミはお父さんとお母さんの面影をどちらも持っているから、それぞれにより似るのかな。
    きっとどちらの性別になってもナシエンスはナシエンス。どっちになるのかは本当に気になる。想像するのも楽しいな。妖精王様に似ているキミ。巨人の女王様に似ているキミ。
    姿は変わるけど、きっとキミはいつものように優しく微笑んでくれる。キミは何も変わらない。僕が大好きなナシエンスなんだ。
    「ど…どうせならハッキリ言ってくださいよ!!」
    ナシエンスは珍しく語気を強めて僕に言った。
    ……食い下がるなんて珍しいなぁ。でもハッキリ言えないよ…。キミがどちらの性別になるかなんで、僕の存在がそもそもハッキリしてないし…。それにどっちならいいって何で聞くのかな。僕がどっちになって欲しいか気になってるの?でも恋…してないよね、ナシエンス。何で聞くんだろ…。それにどっちになっても僕はいい。男でも女でも今のままでも。
    キミはキミ。僕の大好きなキミには変わらない。
    ナシエンスの難しすぎる質問に答えられず、僕は誤魔化して話を逸らす。ナシエンスはハッキリと答えを示さない僕に少し不満そうだったが、すぐに僕の話を楽しそうに聞いてくすくすと楽しそうに笑っていた。
    ……もし答えられるなら答えていたのかな。
    それは分からない。想像も出来ない未知の感情。他の大好きな気持ちはすぐに分かるのに、「恋」はなんでこんなに分からないんだろう。
    きっとそれだけ特別な気持ちなのかな。
    僕もキミもこれからどんどん大人になっていく。大人になるにつれて、この分からない感情を理解していくのかな。
    僕は自分のその感情も気になるけど、キミのその感情がどう芽生えていくのかちょっと気になる。だって大好きな仲間だから。あと、皆より少し特別なキミ。大切な仲間達よりも少し大好きが大きいキミ。……だから気になるのかな。キミが恋を誰かにしたら、キミのお父さんやお母さんのようにその人と仲良く家族になってくれたら嬉しいな。キミがいつも幸せそうで、いつもふんわりとした柔らかい優しい笑顔でいられるように。……僕は誰よりもキミの幸せを一番に願ってる。目覚めるまでの二年間、そして出会ってから魔界で消えるまで僕にくれたキミの想いや優しさ、その想いが僕にとって大切な宝物だから。大切なキミの幸せを誰よりも……。

    ─心の奥底でその気持ちは眠っていた。願わくばそれが僕であればいいと─。
    でもまだ僕はその小さな小さな生まれたばかりの気持ちにまったく気付かなかった。

    僕の「恋」はまだ始まったばかりだから。

    ─The day a little love was born.

    END

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