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    あいりktdk

    勝デ

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    あいりktdk

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    デクくんが一般人設定なのでご注意ください。
    とある理由から大ファンである現プロヒーローNo.1の大爆殺神ダイナマイトの握手会に当選して参加する話です。
    なんも始まらず終わります…

    HEROヒーロー握手会。
    それは現No.1〜10位のヒーロー達と握手ができる夢のようなイベントだ。
    緑谷出久は現在No.1のヒーローでもあり、同い年(と知った時はとても驚いた)の大・爆・殺・神ダイナマイトの大ファンでありいつかこの日が来るのを待ち望んでいた。
    5年前、商業施設殺傷事件に巻き込まれた出久はその日まだ新人ヒーローとして駆け出しであった大・爆・殺・神ダイナマイトに助けられ、それからというもの彼の活躍を追い続けている。

    「ああああああ緊張するぅううう…」

    一生に一回あるかないかだ。
    ヒーロー握手会は一年に一度しか開かれない。
    各ヒーロー30名様限定。
    こんなのに当たるのはよほどの強運の持主。
    あの時から毎年必ず応募はするけれど、自分なんかが当たるわがけない。
    ところが2週間前にハガキが届いたのだ。

    [ヒーロー握手会ご当選のお知らせ]

    ポストからそのハガキを見るや否や腰を抜かす出久。
    声にならない声で叫んだ。
    最初は夢なんじゃないかと何度も思った。
    でも当選ハガキはそこにあり、ご当選のお知らせという文字も存在している。
    少しずつ少しずつ実感が沸いてきてついにあの時のお礼を伝えられるのだ、と嬉しさがジワジワと込み上げていった。

    『動けるか?』
    『…は、はい…!』
    『…嘘ついてんじゃねぇ』
    『へ?うわぁっ!?』

    複数犯の内の1人に捕まっていた出久。
    その犯人はすぐに大・爆・殺・神ダイナマイトによって取り押さえられ、見事出久も大きな怪我なく救出される。
    動けるかどうか聞かれた時、挫いていたのか少し足に痛みが走ったけれど大したことはないと思い返事をしたのだがどうやら彼にはお見通しだったようでそのまま抱き抱えられ救護班の元へと連れて行かれたのだった。
    次の現場へと向かうためすぐにその場を後にする大・爆・殺・神ダイナマイトの背中を見つめることしかできなかったあの時。
    お礼を言う暇もなかった。
    だからいつか直接伝えたかった。
    そんな日がとうとうやってきたのだ。

    「次の方、どうぞー」

    自分の二つ前の同じく強運かつ幸運の持主がスタッフに呼ばれ大・爆・殺・神ダイナマイトがいる簡易的な小部屋へと入っていく。
    スタッフが見張る以外は完全に2人の世界になるということだ。
    緊張がマックスを超えそうになる。
    絶対に伝えるんだ。
    前の人が呼ばれて緊張を抑えるために深呼吸をする。
    やばい。心臓が飛び出そうだ。
    この時間、とにかく何も考えられない。
    ただ大きく静かになんとか呼吸を整えようとしていた。
    そして…

    「次の方ー、どうぞー」
    「ひゃああい」
    「…?」

    呼ばれて思わず変な返事をしてしまったせいかスタッフから不思議そうな目で見られてしまった。
    なんて恥ずかしいんだと思う暇もなく手足をガチガチに硬直させてついに大・爆・殺・神ダイナマイトが待つその部屋へと足を踏み入れることになる。
    瞬間、頭の中が真っ白になった。
    長方形の机を挟んで立っている大・爆・殺・神ダイナマイト。
    特になんてことないが絵になりすぎていた。
    目があって微笑むでも何か言うでもなく、ただその姿に見惚れてしまう。
    そして手を伸ばし第一声を発する。

    「がっ…」
    「が?」
    「か、…っこいい……」
    「あ?はよしろ」

    グイッと握られたその手の温度に全てが吹っ飛んでしまった。
    多少口が悪い事でも有名な大・爆・殺・神ダイナマイトだがそれが逆に多くのファンの心を掴んでいる。
    加えてビジュアルも良く女性ファンからはあの腕に守られたいと口々に言われていた。
    本当に間近で見るとかっこいい。
    同性である自分さえ憧れやファンとは違う好意を持ってしまいそうになる。

    「あ、あの…!」
    「………」
    「あの、僕…!5年前に、あなたに助けられて…!あの時お礼も言えなくて!だから!今日はお礼が言いたくて!その!あの時はありがとうございました!!」

    あんなに何を言うか練習したはずなのに、まとまりのない言葉を送ってしまい出久の緊張はキャパオーバーを超えてしまっていた。
    握られたままの手には酷い汗の感覚だ。
    伏せてしまっていた目線を大・爆・殺・神ダイナマイトへと恐る恐る戻せばばっちりと合う互いの瞳。

    「へぁ…」

    ドキリ、と波打つ鼓動。

    「そぉーかよ。つーか」

    その瞳は少し目尻が下がり優しく笑っているように見えた。

    「そのそばかす見覚えあるわ」
    「………へ…?」
    「そのもさもさ頭も」
    「……は……?」
    「はい、お時間でーす」
    「ええ!?もう!?」

    握られていた手をスタッフに剥がされてそのまま退場の時間となってしまう。
    なんという無情。
    だけど見覚えがあると言われた。
    あの大・爆・殺・神ダイナマイトに。
    大ファンである彼に。
    これはそう。あれだ。
    部屋を出た瞬間、出久は叫んだ。

    「に、認知ぃいいいい!!!!?!」

    この叫び声はもちろん大・爆・殺・神ダイナマイトにも聞こえており彼は小さく「うっせぇ…」と呟いた。
    後に出久の働く会社に護衛としてやってくる大・爆・殺・神ダイナマイト。
    そこで2人の距離はグッと近付くことになる。

    END
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