magnet鳥の囀りに目が覚めた。
カーテンの隙間から朝日が差していて少し眩しい。
隣には静かに寝息を立てている恋人。
目を細めて昨夜のことを思い出す。
惹き寄せられるように抱き合って求め合った。
こんな日が来るなんて正直思いもしなかった。
過去の自分が知ったら卒倒するだろう。
追われて追って、触れて触れられて、今は居ないと生きていけない。
離したくない。
「…かっちゃん…」
眠っていた出久が目を覚ましたのか頬に触れられそのまま体ごとそちらへと向いた。
自分の付けた無数の痕がちらちらと見えて少々驚く。
付けすぎだろ、と自分でつっこんで平常心を装う勝己。
おはよう、と枯れた声で笑う出久に心臓が動いた。
たくさんの甘い声と息が昨夜はこの部屋を包んだ。
お互いの声と息が耳にかかって意識が飛んでしまうんじゃないかというくらいの激しい行為に興奮したのを思い出し体が熱くなる。
こんなの、盛った動物みたいだ。
けれどまた触れたい。今すぐに。
「出久」
「うん…?」
「足んねぇ。もっとさわりてぇ」
「………奇遇だぁ…僕も…まだ、かっちゃんにさわりたい…」
まるで引力。惹きつけられて抱き合ってお互いの温度を確かめる。
「ふふ、かっちゃんあったかいや」
「テメェもだろうが」
「かっちゃん好き」
「ア?」
「好きかっちゃん」
「…っ…」
「かっちゃ」
「わーった!言えばいいんだろ言えば!?」
出久の好き好き攻撃に観念したのか耳を少し赤らめながらも真っ直ぐにその瞳を見つめて口を開く勝己。
「出久、俺もお前が好きだ。」
「………」
「てめ…なんか言えやァ…!」
「…ぃやぁ…かっちゃんに好きって言われる破壊力たるやら…すごい…」
「ンだそれ」
「ううん、すごく嬉しいや…!」
勝己の胸に顔を埋めてその鼓動を確かめる。
トクン、トクンと穏やかに脈打つその心臓。
2人で生きている実感。
これ以上の幸せがあるだろうか。
そんな出久のふさふさした頭に優しく唇を落とす勝己。
抱きしめる腕により一層力が入ってもう離さない。
離れたくない。
2人で生きていく。
そうしてまた愛しい時間を刻んで。
end