兄弟初心者のK快「怪盗キッドの予告状ぉ?」
学校帰りにコンビニで買った、吸うタイプのアイスクリームを啜りながら寺井の言葉を繰り返す。期間限定と銘打たれたチョコレート味は、定番より少し氷が多いだけで、味自体はあまり大差がなく期待外れだった。
「イタズラじゃないのか?」
「そう思いますが、似ていると呼ぶにはそっくりすぎると言いますか……」
じぃっと白い紙に印刷された黒い文字を睨む。
『今夜零時、運命の紫水晶を頂きに参ります——怪盗キッド』
そう書かれた紙に使われている金色の縁取りデザインも、シルクハットのマークも、よくよく知っている見慣れたものだ。細かいことを言えば、この紙も文字のフォントも同じだろう。
「それに、わざわざぼっちゃまの家に予告状を置いていくのは、かなりこちらを知っている人物ではないでしょうか」
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