復刻バレンタイン 吐く息が白く凍る寒さの夕暮れ。高校から帰宅の同田貫正国は自宅の門の前に佇む人影に気付いて足を止めた。随分と長いこと言葉を交わしていなかった、幼なじみの山姥切国広だった。
「……何でこんな所にいるんだよ」
正国は内心の動揺を気取られないよう、敢えてぶっきらぼうに聞いた。古傷の残る強面と筋肉質な体躯も相まって彼をよく知らない人は威圧感を覚える風体。しかし国広は全く臆することなく手にしていた包みを差し出した。
「これ。渡したかったから」
今日という日は所謂バレンタインデー。綺麗にラッピングされた小ぶりな箱の中身は言わずと知れたチョコレート。
「……は?」
「ずっと聞きたかった。小学校の時はこれが当たり前だったのに、どうして中学になってから急に避けられてたのか……」
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