「そうだ、サイトウくん。先にお風呂へ入りたいですよね?」
「はい?」
いきなり背後からリョショウに話を振られ、振り返ったサイトウは上擦った声を上げた。
どうかと問われれば今すぐ風呂に入りたい、というのがサイトウの希望だ。追手から逃げる道中で汚れた服も着替えてしまいたい。
口を開いたサイトウの返事を待たずしてリョショウが今度はシンパチへと向き直った。
「シンパチくん、庭で薪を割ってお湯を沸かしてきてくれますか?」
「分かった、俺に任せろ!」
ぐるぐると肩を回して廊下を走り去っていくシンパチに、サイトウの口からは「えっ?」と戸惑った声だけがこぼれた。
状況に付いていけないサイトウを置き去りにして次はツタンへ顔を向ける。
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