去る者追いかけ、来る者拒みバタンとリビングのドアが閉まる音で依央利は目を覚ました。反射的に見た時計は深夜1時を回っていた。家事や奴隷としての仕事を終えてひと息つき、ソファに座ったら少し眠っていたらしい。先程音がしたドアの方に視線を移すと、猿川が立っていた。リビングの間接照明に照らされた猿川の姿に依央利はため息をを吐いた。口の端からは血を流した跡、頬には殴られたであろう青アザ、一張羅の上着や手には血が付いていた。
「おかえりさるちゃん、こっち来て。手当てするから」
依央利がそう言うと、猿川は無言で依央利の方に向かいソファに腰を降ろした。
依央利はリビングにしまっている救急箱を取り出し、元の場所に戻る。
「他に怪我してる所はない?骨折とか捻挫は大丈夫?」
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