私たちのキスはいつですか? オーブに移住して数年が経ち、メイリン・ホークはようやく自分がオーブに馴染んできたと感じていた。
四季によって目まぐるしく変わる気候、ナチュラルとコーディネイターが共存する人間関係。
十六年間生きてきたプラントとはまるで違うオーブの環境に、初めはどぎまぎしたものだが、周囲の助けもあり、将来的にこの地に骨をうずめてもいいかもしれない、とまで思うようになってきていた。
そう思ったきっかけの一つが、オーブの地で出逢った、想い人の存在である。
大切な人が出来、オーブに対する愛着が殊更湧いたことには、我ながら単純だと思ったものだ。
とはいえ、メイリンはこの地で生まれて初めて恋をした、という類いの話ではない。
オーブに来る少し前、アカデミーや学生時代にコーディネイターの彼氏がいたことはあったのだ。
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