文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day03 じっとりと熱が残る肌を触れ合わせながら、汐見はその肩口に鼻先を埋める空閑の腕に抱えられていた。結局、ベッドが広くなった所でこうやって肌を触れ合わせながら眠りに就く夜は変わることはなく――辛うじて下履きだけは身に付けた状態で、汐見は空閑の抱き枕となる事に甘んじていた。
身体に燻る快感の残滓が、火照りの引かない肌の奥で渦巻くのすら心地がいい。空閑の吐息が首筋を掠める感触に、ぴくりと身体が震える。
「アマネ」
心地のいい微睡の中、空閑は汐見の名を唇から零す。小さく鼻にかかった息を漏らす事で返事と変えた汐見の反応に、彼は言葉を繋いでいく。
「なんで、俺のことここまで許してくれるの?」
ぐりぐりと鼻先を肩口に埋め、首筋に吸い付く空閑の問いに汐見はどうしたものかと思案する。この男は、時折こうやって何かを確かめるように汐見へと問うのだ。その声色は不安の色が少しだけ混じっていて、何がそんなに不安なのだろうと空閑に背を向けたままで汐見は眉を寄せる。
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