星火燎原 星が閉じ込められていた。
よろしければどうぞと差し出したのは、同じレギオンに所属している楓さんだった。これはどうしましたのと聞いてみれば、実家から送られて参りましてと、にこりと笑う。
ラウンジの隅のテーブルに二人でいた。講義がそろそろ終わる時刻になる。周囲には人の気配が少なく、少し離れたところに数人座っているのが見えるだけだ。彼女たちが辛うじて上級生だと分かるくらいには、距離があった。
「たまの甘味も必要でしょうと。走り続けるにはエネルギーが要りますもの」
欧米の血が半分流れているその顔つきは、やはり彫りが深い。しかし、それでいて近寄り難いとは感じさせない。輪郭の柔らかさだろうか。
「そうですわね。わたくしたちが最大限に力を発揮するには、わたくしたちだけではいけませんから」
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