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    do__kkoisho

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    do__kkoisho

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    漂スカ(学パロ)

    ※スカーがやばい不良

    「もしもし?」
    周りには10人くらいの取るに足らない存在が俺を囲む。ご丁寧に鉄パイプやら金属バッドやら武器まで持参するやつまで現れた。
    ようやく繋がった電話の声がよく聞こえるように耳に当てるスマホの位置を調整した。音量も最大にして、息継ぎの音すら聞こえるように。
    「この前は良くもやってくれたなあ!」
    「今度こそお前をぶっ殺してやる!」
    「ようやく繋がった!ブロックされたか嫌われて無視されてるかと思って生きた心地がしなかったぜ」
    「大袈裟だな。お風呂に入ってたんだ」
    「ああ、それは悪い事をしたな。リフレッシュは出来たか?」
    「うん。体育で汗もかいていたし、かなりすっきりした」
    「それは何よりだ」
    「無視してんじゃねえぞ!」
    鉄パイプが頭上に落とされる。一歩だけ横に歩いてそれを避ける。大きな予備動作のある攻撃は当たれば痛いが避けるのは容易い。こういう集団戦では1人が囮になって前面に出て俺を牽制し、その後ろで大技を繰り出すものだ。それすら出来ないとは。
    そのまま足払いをしたら綺麗に顔から地面に転がった。そのうえに乗り上げて彼の声が聞こえてくる嬉しさを足で表現した。跳んだり跳ねたり、足踏みをしたり。ミシミシとあまり聞こえの良くない音がしているが、スマホ越しに「何の用事?」という声がしたからすぐに聞こえなくなった。
    「何でもないから電話した」
    「……どういうこと?」
    「好きな人と話したくなっただけだ。好きだから、声が聞きたくなったから……話題も何も無いけどそれで十分じゃないか?」
    「学校でいっぱい話したのに?」
    「あの程度じゃ足りない。授業が邪魔してくるし」
    「授業は受けるものだ」
    「真面目だな。そういうところも好きだが」
    話しながら飛んでくる金属バットやら拳に蹴りとあらゆる攻撃を避けていく。邪魔をされている事に苛つく。弱いくせに。俺と彼の大事な会話を邪魔する権利なんかないのに。
    金属バットを振りかぶってくるやつの懐に潜り込んで軽く肘鉄を食らわせれば、大袈裟に声を上げて仰向けに倒れた。もう二度とこんな馬鹿な真似が出来ないように右手を踵で踏んでおいた。
    「なんか騒がしいけど」
    「気分が良くて散歩をしていたんだ。今は少し人の多いところに出てしまって。声が聞こえにくいか?」
    「よく聞こえるよ、大丈夫」
    嘘はついてない。最初は涼しくなって過ごしやすい夜に気分が良くなって散歩したのは事実。歩いていたら楽しくなって彼に電話をかけたら、人が10人ほど集まっている所に来てしまったのも事実。
    嘘はついてない。
    でも誤魔化しているのは事実。
    少しだけ。嘘。とても心が痛んだ。
    でも喧嘩に巻き込まれたと言ったら、せっかく風呂上がりで気分がいい彼をここに呼ぶことになる。優しい彼はきっと俺を助けて叱るために走ってきてしまうから。
    ああ、くそ、ムカつくな。もし彼がまた不要な汗をかくことになったら全部こいつらのせいだ。
    ムカついたから産まれたての子ヤギのように震えて這い蹲る奴の背中に飛び乗った。心地悪い音がした。
    「明日学校来るよな?」
    「お前が行くなら行く。行かないなら行かない」
    大事なスマホは落とさないように。声が聞こえなくなってしまうから。スマホカバーも選んでもらったものだから大切にしないと。
    あのなぁ……、なんて呆れられた。そういう所も好き。何だかんだと言いながら俺の事を見てくれる所が好き。落ち着いた声で俺を咎めてくれる所が好き。
    声を聞いていると彼への気持ちが昂って溢れて俺のこの体じゃ抱えきれなくなっていく。冷たい電子機器の板越しなのにどうしてこんなに嬉しくなるんだろう。
    「学校は土日祝日以外毎日行くものだ」
    「俺にとってはお前に会える場所でしかないから」
    「……まあ、それでもちゃんと来るならいいけど」
    踊るみたいに跳んで回って。
    その回転を使って殴りかかってきた男の顔面を蹴り飛ばす。踵部分で何か潰れた感じがしたけど「俺は登校するから」という声が嬉しくて忘れた。
    「宿題もちゃんとして来るように」
    「難しいところがあったら教えてほしいな」
    「真面目にやるなら。この前は……」
    「だって、大好きな人の声がずっと聞こえたら堪らなくなるだろ?」
    この前、宿題を教えてほしいとお願いしたら二つ返事で了承してくれた。その事実とずっと聞こえた声が俺を昂らせて我慢出来なくなってオナった。そしたら凄く怒られた。でも、俺だって反省する。確かに彼の誠意を無碍にしたのは事実だ。
    「でも、もうしない。あの時は軽率だった」
    「……はあ。スカーは約束だけは守ってくれるから、そこは信じてるよ」
    信じてるよ、だって!
    嬉しい、幸せだ。
    顔が歪んで口角が上がるのを我慢できない。本当は大声で笑いたい。でも、電話越しの彼を驚かせたくは無い。
    どうしようもない喜びを鳩尾を抉るように膝で蹴って発散する。ああ、まだまだ足りない!一人蹴り飛ばしただけじゃこの気持ちは抑えられない!
    勢いよく駆けてフラフラと立ち上がった男目掛けて飛び蹴りをする。また地面に倒れたその男を飛び越えてもう一人ついでに蹴り飛ばした。
    「約束は守ろう。だから、ご褒美が欲しい」
    「何でも。無理なものは無理っていうけど」
    「もちろん。お前に無理を強いた時点でそれは俺のやりたいことじゃなくなるからな」
    ふらふらと立ち上がった鉄パイプの奴からそのアイデンティティを奪い取る。最小限の動きで持ち替えて腹を鉄パイプで突いた。内臓の当たった感触から嫌な予感がして蹴り飛ばしたら、地面を転がりながら胃の内容物を吐いて回っていた。危ない。もしお揃いで選んだスマホカバーが吐瀉物に塗れたらと思うと気を失いそうになる。
    「明日、デートをしよう」
    「デート?いいけど、どこに行くんだ?」
    「お前の好きそうな雰囲気のいいカフェを見つけたんだ。そうだな、図書室でも本屋に寄るでもいいから、お互いのために選んだ本を読むデートはどうだ?」
    「へえ、面白そう」
    「喜んでもらえそうでよかった」
    彼のためになったと思うと喜びよりも安堵が広がる。
    好きになってほしい気持ちよりも嫌われたくない気持ちがどうしても勝ってしまう。我ながら消極的な恋だと思う。
    これでも自分が周りと違うことはそれなりに自覚はしている。
    世界の道徳、ルールに縛られるのが大衆の総意だとしても、俺は自分の信じたものしか見ていられない。大衆に流されていく彼を引き止めたいと思いながら否定されることが酷く怖い。
    なのに、彼が今日は電話にも出てくれたし、信じてるって言ってくれたし、デートの約束もしてくれたから、俺を甘やかすからどんどん付け上がってしまう。
    感情のボルテージは上がり続けて馬鹿になった。嬉しくて堪らなくて、顔がにやけていくのが止まらなくて、その衝動を脚で発散した。2メートルほど先で数度身体を震わせて動かなくなった男が倒れている。
    どうしよう、我儘になってしまう。嫌われないかな。愛想を尽かされないかな。嫌われないかな。
    でもこれくらいはいいよな?付き合ってるんだもんな?
    彼も俺の事が好きだって言ってくれているし、俺はもちろん彼のことを全て愛しているし、ほんの少し我儘を言ったって、少しの溜息で許してもらえるよな?
    耐えきれない期待と大いなる不安と身体中を巡る愛情のせいで唇が震える。一度力を込めて唇をきゅっと閉じてゆっくり開く。浅くなる呼吸を無理矢理深呼吸をして整える。
    「もう1つ我儘を言ってもいいか?」
    「何?」
    ちょっとだけ笑いの交じった短い声が俺を強ばらせる。
    お前だけだよ、俺をこんなにも掻き乱して馬鹿にさせて際限なく欲しがらせるのに何をするにしても怖くて仕方なくさせて頭をおかしくさせてこの身体じゃ内包できない程の喜怒哀楽とそれ以外すべての感情でいっぱいにさせて吐きそうな程の幸せとそれを失った時のまだ来ていないだけの絶望で脳がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられてこの身を焦がすほどの愛情で俺を殺していくのはお前だけだ。お前だけに許された特権なんだ。
    「1回だけで良いから好きって言ってほしい」
    言ってしまった。
    なんて愚かな我儘なんだろう。
    彼はなかなか『好き』と言ってくれない。たまに、月に一度あるかどうか、その程度の頻度でしか言ってくれない。言われなくても彼の気持ちはわかっているつもりだし、俺が代わりにたくさん伝えるから足りないとは思わない。
    でも、たまにはちゃんと言ってほしい。彼の優しい声音で表現される2文字が聞きたい。それだけで一生の幸せを感じられる気がする。
    彼から与えられるものは全て中毒性がある。どれだけ貰ってもいつも物足りない。俺が欲しがりなだけ?そうかもしれない。わかっているから普段は我慢している。彼の負担にはなりたくないから。嫌われたくないから。
    「それくらいいいけど」
    「本当か?すごく嬉しい」
    彼の優しさにつけ込んでいるみたいで嫌だ。誰もが彼の優しさを食い潰そうとしているのが許せないのに、自分も同じになってしまう。違う。俺は違う。好きって言ってもらう分、今までも気持ちを伝えてきたし、これからも伝えていく。彼の優しさを当然の権利のように消費していく奴らも消していく。こんな間違った世界から彼を守るんだ。だから違う、俺はあんな奴らと一緒じゃない。
    立ち止まってスマホを耳に当て直す。息を止めて彼の音以外聞こえないように、スマホが当たっていない耳は片手で閉じた。
    「その」
    「…………」
    「好きだよ、スカー」
    「ハハハハハッ!俺も大好きだよ、愛してる!世界で一番、いや、一番よりももっと愛してる!」
    大好き!大好き!大好き!大好き!
    身体中を幸せが駆け巡る。蛇のように体内をのたうち回る幸福が喉を締める。違う、呼吸を止めてそのままだったのを忘れていた。息を止める前に肺にあった空気全てで気持ちを伝えたから脳がクラクラする。酸欠になったから?それだけじゃない。脳内麻薬が溢れて眩暈がする。立っていられない。受け身も取れずにそのまま仰向けに倒れる。頭を強く打ったけど脳が揺れただけで痛みはそんなに感じない。
    「クソッ!舐めやがって!死にやがれ!」
    「……は?待て、スカー、今何して」
    「本当に大好きなんだ、信じてくれ。愛してるよ」
    左腕が熱い。きっと彼への愛情に皮膚が耐えきれずに溢れたんだ。赤く流れるそれは俺の服や髪を染めていく。愛情はよく赤いハートで表現される。ぴったりじゃないか。俺から溢れたハートが俺を彩ってくれるなんて、どんなくだらない物語も描けないほどのベタな情景だ。だけどそれが酷く心地よくて嬉しい。
    俺の左腕に突き刺さったナイフを引き抜いて投げ捨てる。ふらふらする。脳が上手く動いていない気がする。刺した奴はどこだ。殺してやる。ふざけるな。ただで済むと思うな。絶対に殺してやる。彼が愛してくれている物に傷を付けた代償は死んでも償えきれるわけがない。死ぬよりも恐ろしくて惨めで殺してくれと俺に嘆願するほどの恐怖を与えてやる。それでも足りない。殺した後に何をしてやろうか。
    「……カー、スカー!?」
    「……あ、えっと、何の話をしていたんだったか。すまない、ぼーっとしていて」
    「どこにいる!?何かに巻き込まれたんだろ、すぐに行くから」
    「おいおい、こんな夜中に出歩くのは危ないぜ?何かあったらどうするんだ」
    「お前がそれを言うな!」
    左手でスマホを持っていたら血がどんどん溢れてきた。右手で持ち替えたら手のひらから出る血で滑って上手く持てなかった。
    「大丈夫だよ、何ともない」
    「俺に嘘をつくな。どこにいるんだ?」
    狡い。彼の好きな所の一つである賢さが今だけはすごく恨めしい。
    「嘘、ついてごめん。嫌いになったよな」
    「なってない。今すごく心配なんだ。どこにいる?助けに行くから」
    「でも、さっき風呂から上がったばかりだって」
    「そんなのもう一回入れば済むだろ」
    これ以上言ったらもっと怒って本当に嫌われる。
    観念してここから少し離れた場所を伝えた。
    電話を切るなよ、と言われた。嬉しいけど今はちょっとだけつらい。右手も左手も上手く動かせなくてスマホを持つのが難しいから。そういえばこれ防水だっけ。壊れたらこの声が聞こえなくなる。いや、そうじゃなくてスマホカバー。汚してしまった。怒られるかな。シリコンとプラスチックのものだから洗えばすぐに綺麗になると思うけど。
    周りを見渡すと俺を刺した奴はどこかに行ったらしい。顔は覚えた。明日デートが終わったら探すとしよう。
    脚は動くから嘘を本当にするために歩く。
    両手から血が垂れていく。どうやって止めるんだったか。まあいいか。そのうち止まるだろう。
    電灯に照らされた血痕は不確かな間隔で俺の痕を付けていく。ヘンゼルとグレーテルみたい。あの話は……まあ、好きではない。子供を森に捨てた母親と同罪の父親が被害者面をして、子供たちの力で悪を打ち倒した平穏と財産を平然と享受して子供たちを迎えてハッピーエンドとしているのが気に食わないが、母親と魔女の実行犯は何にせよ死んだのはよかった。ああ、何より終盤に神が出てくるのが憎たらしい。そんなものがいるなら最初から母親を殺してヘンゼルとグレーテルを助けてやればいいのに。
    「スカー?大丈夫か?」
    「大丈夫だ。心配してくれて嬉しいよ」
    「すぐ着くから。そこから動くなよ」
    これはまずい。こちらも早く向かわないと。
    駆け足で目的地に向かっていたら犬の散歩をしている人とすれ違った。犬はずっと吠えてきたし飼い主は絶句していた。見るなと睨めば吠える犬のリードを引っ張って飼い主は逃げていく。
    目的地は河川敷の開けた空き地で、錆びた看板の傍に腰を下ろした。
    はずだったのに気がつくと夜空を見上げていた。流石に血を流しすぎたかもしれない。死ぬかな。嫌だな。彼を守る存在が居なくなってしまう。そうなったら彼はまた他人に消費されて平穏の影に隠れていく。
    「スカー!」
    スマホは耳から離れているのに好きな人の声がよく聞こえた。本当に死ぬのか?だってスマホは右手から落ちて足元に転がっているはずなのに。
    突然月が2つに増えた。
    「綺麗だな……」
    「何が……そうじゃない、まずは止血しないと」
    顔に夜空が落ちてきた。細くて艶やかでいい匂いのするそれはこそばゆくてつい笑ってしまった。
    「とにかく意識はしっかり持て。左腕と……右手だな。左からやる。少し痛いけど我慢するんだ」
    「……え、ぎっ、い、……っ!?」
    刺された時よりも鋭い痛みが左腕から全身へ走る。能に直接電気を流し込まれたみたいに無理矢理活性化させられる。
    夜空だと思っていたものは彼の綺麗な髪で、月だと思っていたものは彼の瞳だった。
    「会いに来てくれたんだな、嬉しいよ……でも悪かった、こんな夜中に」
    「キツめに縛るから。血が止まってない」
    「ぐ……っぅ……!」
    俺の話も聞かずに強引な止血をされる。こんなことお前以外にされたら逆に血祭りにしてあげる所だ。
    目まで痛くなる処置で否が応でも意識がはっきりする。ぐるぐると巻かれた包帯が山のように盛り上がっている。とはいえ、血液が穴から流れる感覚が少し収まった感じがする。見た目は不格好だが処置としては問題ないようだった。
    「右手も消毒液かけるから。痛いけどがんばって」
    ベッドの上で聞きたい言葉だったな。
    と口に出すとふざけるなと怒られるから我慢する。
    左腕の止血が終わった彼は右手にも同じように消毒液を大漁にかけた。左腕より露出した傷口が多い分刺激もきつい。今度は歯を食いしばって声を我慢する。
    的確で素早いが見た目は良くない治療が終わった。当分右手は使えなさそうだ。
    起き上がろうとしたら両手の痛みと眩暈でまた地面に倒れた。あーあ、格好良いところだけ見てほしかったのに。
    自力で体を起こせない俺の両肩を抱いて、上体だけ起こしてくれた。でもそれを支える力がないから彼の肩に頭を乗せて全体重を預けてしまう。ふんわりとしたボディーソープと血の匂いが混じってる。
    優しく抱きとめてくれて、宥めるように背中を撫でてくれた。一挙手一投足、その全てが俺のために動いてくれていると思うとどうしようもなく幸せで泣いてしまいそうになる。
    「今のはただの応急処置だから。病院行こう」
    「嫌だ」
    反射的に否定してしまう。
    だって、病院に行ったら面倒なことになるし、また会えなくなる期間が出来るし、何より、何より。
    「病院に行ったら明日デート出来なくなる、約束も守れなくなる、」
    「そんなこと言ってる場合じゃないだろ」
    「約束を守る俺が好きなんだろ?守らなくなったら……?」
    「嫌いにならない」
    多分、これは俺を黙らせるための慰め。
    貧血状態でもわかる。
    それでも、俺を突き放したりしない優しさが嬉しくて、どうしようもないぬるま湯の中に突き落とされたような心地になっていく。
    どれだけ不安になって心細くなっても、結局お前は俺を選んでくれる。今だってそうだ。こんな夜中に家を飛び出して俺のために血で汚れるのも気にしないで必死になってくれた。ずっとこのままならいいのに。ここで世界が終われば幸せなままで居られるのに。
    「もう喧嘩なんかするな」
    「……俺から仕掛けたんじゃない。向こうから売ってきた」
    「じゃあ逃げるとか、喧嘩に巻き込まれないようにするとか、そうやってほしい」
    「何故?」
    「好きな人が傷付いてる姿は二度と見たくない」
    痛みを幸せだと勘違いしてしまいそう。痛みなんて常にある憎悪の象徴だったのに。お前のせいで俺という存在がぐちゃぐちゃになって形が保てなくなっていく。俺を俺たらしめるものがふわふわと溶けて消えていきそうになる。
    左手で彼の顔に触れた。まだ乾いていなかった血が彼の綺麗な頬を彩った。白い肌に赤い線がよく映える。
    「きれいだよ」
    やっぱりお揃いの方がよく似合ってる。
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