🌊☀️001「それじゃあ、行ってくるね」
そう言っておひいさんはオレの頬へ口付けた。だが、それでもオレのこの心のモヤモヤは晴れない。この日が来てしまったからには、オレは不安と後悔とやるせなさでいっぱいだ。
そうして、暫く黙ったままのオレを見かねて、おひいさんは再び口を開いた。
「ジュンくん!いってらっしゃいのキスは?約束したよね?ほら早く!ぼくが遅刻しちゃうね!」
そうやって自身の頬を差し出してくるおひいさんの様子は至っていつも通りだった。こんな気持ちを抱えているのは自分だけかもしれない、そう思うと何だか一方通行な気持ちの行き先がなくなってしまって、目頭が熱くなる。
「……っ、はい。おひいさん、いってらっしゃい」
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