いつだってお前には敵わない ハングマンは自分が頭が悪いと思ったことはない。むしろ優秀だ。それは決して自称ではなく、自分の立場が、残した成績が語っている。
自分の前に座っている男も馬鹿ではないだろう。ハングマンと同じくトップガンを卒業し、面倒なWSOをしている。それなのに食べ物はこぼすし、変なところで躓くし、忘れ物もよくする。時々本当に優秀なんだろうかと疑わしくなる。
「あ、チェック」
「はぁ?」
ほんの少し、違うことを考えていたらチェスの盤面が怪しいことになっていた。だいぶボブが優勢になっている。
「この野郎……」
「君は調子がいいとすぐ油断するよね」
「はっ、まだまだこんなのはひっくり返せる」
「そうかな」
いつもは控えめなくせに、カードゲームやボードゲームの時はやたらと強いので表情も言葉も強気だ。
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