灯台下暗し⚫︎
「だぁーーっ!今日という今日は許さへんぞぉ!」
ちょっと助けてくれないか。
そう言われて大阪から東京まで、律儀に駆けつける自分は、今回に限ったことではない。
呼び出された挙句、放置、というあまりの扱いも、今回が初めてではなかった。
「ホンマにアイツ…、俺のことなんやと思とんねん…」
「あら、奇遇ね。私もだいぶ、彼からの扱いに疑問を持っているクチよ」
紆余曲折あって、元に戻った工藤と、幼い姿のままでいる事を決めた灰原。
相棒と宣いながら、雑務雑用を彼女に押し付ける名探偵の姿も、服部は知っていた。
「ねぇちゃんも、難儀やなぁ…」
「近くにいるから、コマ使いのように使われる私と、大阪から、しょっちゅう呼び出されては放置されるあなた。どちらが良いのかは、悩むところね」
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