花のかおりの君 日々花冠を編み、愛するひとの鮮やかな髪の上に淡い色彩を乗せる。
そして愛を囁き、硬い花弁が開く瞬間のようなパートナーのいじらしい笑顔を見る。
そのささやかなやり取りで、アルフレッドはリュールとの蜜月に満たされていたはずだった。
「あれ、お兄ちゃん。今日は花冠をしていなかったんだ?」
朝早い行軍の後、アルフレッドとともにカフェテリアで身を休めていたリュールに、果樹園から収穫を持ち帰ったヴェイルが声をかける。
「はい、アルフレッドも私も朝から異形兵との戦闘だったので……それがどうかしましたか? ヴェイル」
「ううん、何でもないんだけど」
気のせいだったのかな、と飲み込もうとするヴェイルにリュールが続きを促す。
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