寄木細工の秘密箱「今日までお世話になりました」
あんなに小さかった鬼太郎が、今日家を出る。
見た目はまだまだ子供だが人ではない鬼太郎がこれ以上同じ姿で留まるのはご近所さんにもそろそろ言い訳がつかなくなる。
何度も何度も話し合い、何度も何度も止めはしたがやはりどうする事も出来ずに、今日遂に我が子は家を離れ別の場所へ行く。
行く宛や金銭はと聞けば妖怪の森でもう家を揃えているらしい。
人間とは違う妖怪横丁ならば金銭はさ程無くても困らないらしい。
流石我が子だ、しっかりしている。
それでもやはり、ずっと一緒に暮らしていた子が巣立つのは寂しさがある。
しかし親として『また、いつでも遊びに来い』と明るく送ってやらなければ。
「そうだ。これ…」
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