マーサ・カレン・キャンベルの冀望マーサ・カレン・キャンベルの冀望
レヴォネ家とガーランド家に勤める使用人達はここ最近皆浮き足立っていた。
両家は共に国内でも有数の貴族であり、更には国を巻き込んだ騒動の渦中の人物の家だ。
王太子による断罪と追放。それだけでも一大事だというのに、帰還したセイアッドの変貌ぶりと共に戻ってきたオルテガの愛執が表面化していたからだ。
レヴォネとガーランドは主人らも仲が良いが、使用人同士も交流が多い。まさに家ぐるみの付き合いだ。
彼等は二人の関係が前進した事を喜び、全力で応援している。セイアッドは恥ずかしがっている事が多いが、そんな姿すら微笑ましく見られているのだ。
祝福ムードに満ちている両家だが、今回の事で両家に関わる人間は世間の注目の的でもある。
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