きみのかなしみにふれさせて 星海との戦いに向けて、作戦会議がしたいーそう言いだした王城を自室に招いてもう何時間経っただろうか。すっかり夜も更け、作戦会議の発起人であったはずの王城は何故か井浦のベッドで眠っている。爪先から頭のてっぺんまでを布団で包み込み、さながら昆虫の繭の様に眠る王城。小学生からの付き合いである井浦は見慣れてしまったそれに特段何か反応することはなく、布団の中から聞こえる微かな寝息をBGMにノートにペンを走らせた。
きりの良いところまでノートを書き終えると、井浦は自分の寝床を占拠した布団虫を横目に来客用の布団を引きずり出す。たまには床で寝るのも悪くないかと微笑むその横顔を見る限り、ベッドを占拠されたことに対して特に文句はないようであった。
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