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    mat0ichan

    @mat0ichan

    OCの青野寺が可愛すぎて愛ゆえにいじめたくなってしまうアカウントです。BL要素強め、えろ、暴力的表現あります。18歳以下の方、表現が苦手な方は観覧なさらないようお願いします。えろが描けるようになりたくて練習中です。絵文字で応援していただけると励みになります❤️‍🔥

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    mat0ichan

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    なつあお
    水かと思ったらガムシロップだったくらい糖度高めで甘すぎて鼻血出そうになっちゃった🤤

    付き合う直前のなつあお。
    スパダリ名津黄にしたいのでヘビースモーカー設定は無し。だけど二次創作とかで使いたいのでメモメモ🤤

    『タバコとキスと君の味』薄暗い会議室。
    張り詰めた空気がようやく緩んだのは、今日の任務報告が終わった直後だった。公安の中でも特に忙しい違法薬物特別対策係――そこに所属する指揮官の名津黄圭太は、目の前の後輩・青野寺岳留を静かに見つめていた。

    「……あの、お疲れさまでした、名津黄さん」
    「うん。お疲れ、青野寺くん」

    青野寺はペコリと頭を下げる。その動作が妙にぎこちなくて、名津黄は目を細めた。

    「どうしたの?何か言いたいことがあるようだけど?」
    「えっ、あっ、そんなこと……ない、ですけど……」

    青野寺の耳がじわじわと赤く染まっていくのが可笑しい。何年も一緒に働いているのに、青野寺くんは未だに僕の好意に気づかない。見ないふりをしているのかと疑いたくなるほど。

    「……でも」
    ぽつり、と青野寺が言った。

    「今日は……その……、あの……その……」
    「ん?」
    「ちょっとだけ……しても、いいかなって……思って……」

    名津黄は口角を上げた。
    その言い回しが何を意味しているか、知っている。

    「……したいの?」
    「っ……はい……」

    声が小さい。でも、間違いなく本心だった。
    名津黄はゆっくりと手を伸ばし、青野寺の頬に触れる。臆病なうさぎのようにビクッと震えた彼を、そっと引き寄せた。

    そして、唇を重ねる――

    ……ほんの一瞬で、青野寺が「ぶはっ」と顔をそむけた。

    「げほっ、ごほっ……!」
    「……えっ」
    「た、タバコ……っ!」

    涙目になりながら顔をしかめる青野寺に、名津黄は思わず苦笑する。

    「ごめん、ごめん……吸ったのはさっきの休憩中だったんだけど」
    「名津黄さん、や、やめてくれるって…言ってたのに…も、もう無理です……!」
    「無理って……」
    「名津黄さんがタバコやめてくれるまで、キスしません!」

    ピシャリと言われて、名津黄は軽く目を見開いた。

    「……それって、逆に言えば、やめたらいっぱいキスしてくれるってこと?」
    「えっ……ち、違……くはないですけど……!」

    真っ赤になって俯く青野寺を見て、名津黄はしばらく沈黙した。

    彼に好かれたい。
    彼に触れたい。
    でも、それ以上に――

    「……そっか。禁煙、また頑張ってみるよ」
    「ほ、ほんとですか……?」
    「ああ。だって、君の“キスしません”は、ちょっとこたえるからね」

    そう言って笑った名津黄のポケットの中には、まだ未開封の煙草が一箱あった。

    それを今日、火を点けずにいられるかどうか――
    それは、青野寺の不器用な「好き」が、どれだけ効いているか次第だった。

    ーーーーーーーーーーーー

    翌日。
    名津黄は、昼休みに屋上へ続く階段を上っていた――が、ドアの前で立ち止まった。ポケットの中にある煙草の箱を、ぎゅっと握りしめる。

    (吸いたい……くそ、吸いたい……)

    いつもだったら、ここで一服してた。
    ちょっと息抜きして、煙を肺に流し込んで。仕事に戻る。

    でも、昨日の青野寺の目に涙を浮かべた顔が、ふっと浮かぶ。

    『名津黄さんがタバコやめてくれるまで、キスしません!』

    (……そんな顔、二度と見たくないよな)

    名津黄は小さく息を吐き、煙草の箱をポケットにしまい、踵を返した。


    「名津黄さん、最近……昼休み、どこに行ってるんですか?」

    休憩室で、青野寺がふと聞いてきた。
    名津黄はコーヒーを一口飲んでから、にやっと笑った。

    「禁煙、頑張ってるんだよ」
    「……えっ!?」

    目を見開いて驚く青野寺。その反応があまりに素直すぎて、名津黄はちょっとだけ胸がくすぐったくなる。

    「本当は、一本吸っちゃったんだけど……君に“キスしない”って言われたの、けっこう堪えてさ」
    「……そう…なんですね……」

    青野寺が俯く。その耳は、もうほんのり赤い。

    「そんなに……俺のこと、気にしてくれてるんですか?」
    「そりゃそうだよ。君のこと、好きだから」

    ストン、と落ちるように、まっすぐ言われた。
    青野寺は咄嗟に言葉を返せず、目を泳がせた。

    (ずるい……そんな風に、言われたら……)

    でも、言われて嬉しくないわけじゃない。
    むしろ、心がふわっと浮くような気がしていた。


    その日の夜。名津黄の部屋。

    「……うぅ。めちゃくちゃ吸いたい……」

    ベッドに倒れ込んで、名津黄はひとり呻いた。手が震える。口の中が何かを求めている。

    「禁煙って……こんなきつかったっけ」

    それでも、灰皿に手を伸ばすことはなかった。
    代わりにスマホを手に取り、LINEを開く。

    >名津黄:青野寺くん、今日も顔見られて元気出た。
    >名津黄:禁煙、頑張ってるよ。

    しばらくして、返信が届く。

    >青野寺:……応援してます。
    >青野寺:名津黄さんが頑張ってるなら、俺も……もうちょっとだけ、勇気出してみようかなって。

    名津黄はそのメッセージを見て、ふっと笑った。

    「……キスより甘いなあ、それは」

    夜の静けさの中で、彼は煙草に代わって、青野寺の言葉を噛み締めていた。

    ーーーーーーーーーーーー

    禁煙開始から、ちょうど2週間が経った。

    名津黄は、公安第8課の自席で缶コーヒーを片手にぼんやりしていた。
    以前ならこの時間は煙草を吸っていたはずなのに、今は代わりにミントガムを噛んでいる。

    (……案外、慣れてくるもんだな)

    口寂しさも、手持ち無沙汰も。全部、青野寺くんのためだと思えば、我慢できた。

    「名津黄さん……あの」

    突然声をかけられ、顔を上げる。
    そこには、少しだけ表情が柔らかくなった青野寺が立っていた。

    「話したいことがあって……その、屋上、いいですか?」


    屋上に出ると、ほんのり涼しい風が吹いていた。

    「名津黄さん、あの、禁煙……」

    「うん。してるよ。ほら」
    名津黄はポケットを出して見せた。中にはガムと携帯灰皿――でも、中は空っぽ。

    「この2週間、1本も吸ってないよ」
    「……っ、本当に?」

    「本当に。本気で頑張ったよ、君の“キスしません”が効きすぎたからね」
    「そ、そんなに……俺のこと、す、好きなんですか……?」

    「ずっと前から好きだよ」

    さらっと言われて、青野寺の顔がパァッと赤くなる。
    風が吹いても冷めないくらいの火照りが頬に宿る。

    「……それなら、今日だけ……」

    名津黄の胸がドクンと鳴る。
    青野寺が、震える手で彼の袖を掴んだ。

    「“キス、してもいいよ”って……言いたいです……」

    それは、か細いけれど、ちゃんとした許可だった。
    名津黄はゆっくりと青野寺に顔を近づけ、そっと唇を重ねた。

    ――苦くない。煙くもない。
    ただ、柔らかくて、少し冷たくて、でもどこまでも甘い。

    唇が離れた後、青野寺がポツリとつぶやいた。

    「……やっと、“名津黄さんの味”になった」

    名津黄はくしゃりと笑い、彼の頭を撫でた。

    「もう二度と、煙の味なんかさせないよ。君だけで満たしてくれ」

    それからというもの、名津黄のタバコは本当に姿を消した。
    代わりに、休憩中には青野寺の隣でコーヒーを飲み、たまに唇を重ねる。

    “キスがご褒美”――
    それが、彼にとって何よりの動機であり、何よりの報酬だった。


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