神話悪魔は人に先んじて、偉大なる父の手によって創造された。
されど、それは父の望んだことではなかった。もとより、父は人を創らんとしていたのだ。
悪魔たちは父より授けられた偉大な力をもって、はじめこそ互いに助け合い、穏やかに暮らしていた。されど、時が経つにつれ、その力を己が欲望のままに振るう者が現れた。世界は乱れ、争いが絶えぬものとなった。
これを憂いた父は、彼らとは異なる新たな世界を創造し、そこへ力なき者──人を生み落とした。
人の世界は穏やかであった。力なき者として生まれた人々は、互いに知恵を分かち合い、助け合いながら生きていた。父はそれを喜び、人々の営みを静かに見守った。
しかし、悪魔たちはそれを良しとしなかった。彼らはなおも偉大なる力を持ち続け、人よりも強き存在でありながら、父が彼らではなく人を新たに創り、その世界を与えたことに不満を抱いた。
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