首輪で引っ張られていった私達はとあるガラス張りの部屋に入れられた。
目の前にはテレビのような液晶画面が1つ。
隣で私と共に処刑される運命共同体の
目の前にも1つ。
私達の間は同じくガラスの壁で2つに仕切られていて互いの声は届かないようだ。
唐突に画面に映像が流れだす。
それはクイズのようで、私の画面には
殺陣や時代劇について、
彼の画面には
薬の効果についての問題が映っている。
互いの問題が逆ならば余裕で解ける問題だが
カウントダウンが始まっている。
声が聞こえない為答えを教え合うことも出来ず
もう感で解くしかない。
1問目の答え合わせ。
無情にも鳴り響く不正解のサイン。
上から水が流れてくる。
…なるほど、間違い過ぎると部屋が水で埋まって
溺れるということか。
…
…
…
そして迎えた5問目。
私の画面に映った問題は
『貴方が殺した彼女の大切な物は何?』
最後のみ4択問題。
…わからない。
もう私の頭まで来た水。
彼はもう問題を見ることすら出来ないようで
必死で呼吸しようとしている。
おそらく身長差を埋める為だろう、
私だけが椅子に拘束されており彼は足枷のみ。
自由度が高いのは圧倒的に彼の方だ。
……もう…無理だ…。
私も問題を諦めて彼の方を見る。
もうお互いに意識が薄れてきた中、微笑みかける
今までありがとうな、少年。
その言葉が彼に届いたのかはわからない。
…そして私の意識もここで途切れた。
水死体となった彼女の腕が奇跡的に
正解のボタンに当たり、水が抜かれていったことは
周りで見ていた仲間たちしか知らなかった。