はっぴーハロウィン🎃「なんて恰好をしとるんだ、お前は!」
学園長の突然の思い付きで催されることになったハロウィンパーティーで、各組で仮装をすることになった訳だが、文次郎は目の前の男の装いを視界に捉えるなり、声を張り上げてしまった。
犬猿の仲である留三郎の仮装を見やれば、包帯を身に纏っただけの姿で恥ずかし気もなく歩いている。見慣れた男が包帯に包まれ、これまたよく見慣れた格好になっていた。今は怪我は無いようだが、いつもならこの包帯に見合うほどの重傷を負い、伊作に看病されている姿を何度も目にしている。
だが、文次郎が指摘したいのはそこではない。文次郎からすれば、包帯の下の柔い肌でさえ、よく見慣れたものなのだ。それが今では包帯一枚のみで隠され、やけにその体の線を強調させている。鍛えられた体と引き締まった腰つきが包帯によって更に顕著に現れ、文次郎に嫌な汗をかかせてきた。
1207