穏やかな世界で1
「じゃーん!お前らこれを見ろ!」
夕日に染まった神社で、バラバラだった視線が一気にオレに集まった。パー、ケンチン、三ツ谷、場地、一虎。全員が口々に何かを言いながらオレの方に近づいてくる。
「なんだよ、マイキー」
「あ?写真?」
「写真?誰の?」
「ちっせえ…ガキ?」
「ゲッ…これオレじゃねえか!」
場地の一際デカイ声に、興味なんてなさそうだった他のヤツらの声が一気に勢いをもった。
「うわ、ホントだ。場地じゃん、ふ、かわいーじゃんっ、ふっ…は」
「うるっせえな!笑い堪えられてねえンだよ!」
「木の棒持ってなにやってんだよ」
「覚えてねーよ!」
「何歳の頃の写真だ?」
「知るか!」
場地を弄り倒すパー、ケンチン、三ツ谷とそれに苛立たしげに一々反応する場地。男子中学生の人目を憚ることのない声で、オレたちしかいない神社はどんどん騒がしくなっていく。だがその中に一虎の声がないことに気がついた。
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