フルイタ【地層探査×ブルーベリーケーキ】パンを前歯で無理やり噛みちぎり、奥歯で忌々しげに数回咀嚼する。大量の温い水をすかさず口に含み、パンともに喉の奥に流し込む。
ごくり、と喉を鳴らし、フールズは渋い顔をする。
手にとったパンを投げ出しそうになる衝動をぐっと抑え、口に再び運ぶ。噛んで千切って飲み込んで……。機械的に何度も繰り返す。
そして、苦痛でしかない食事を終える。
フールズは椅子の背に身体を預けた。
何を食べても味がしない。
金で買ったパンですら、そこら辺に生えている草と同じで、ゴムを噛んでいるような不快感だけが口に残る。
味覚がないからといって食べる行為を放棄しようにも、生き物である以上、それは不可能だ。
もって五日──。
あの時もそうだった、と水底に沈めた過去が脳裏を過った。
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