その時は、いつか探してね「オレ、キツネより先に死んじゃうかもしれないなぁ」
唐突にそんなことを言い出したサトリにキツネは目を瞬かせる。
情事の名残のあるくしゃくしゃの布団の上に寝そべりながら上目遣いで見つめてくる少年は、言葉の割に深刻そうな表情ではなかった。
「なぜそう思ったのだ?」
「んー、だってさ…」
サトリはごろりと身体を転がして、キツネの太ももに頭を乗せて膝枕の姿勢をとる。
薄い単衣越しに伝わる体温は暖かく、キツネはその黒い髪に指を差し込んですいてみせる。
「キツネは純血っていうのかな…しっかりとしたモノノケだけど、オレは違うだろ?」
「あぁ…」
サトリが言わんとすることを理解したキツネは、なるほど…と頷いた。
人の血が半分流れているサトリは、己がどれくらい生きるのかが分からないのだろう。
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