冬の朝 目を覚ますとベッドの上にいた。
寝てたんだからそりゃそうだ。けれど、そんなことにまで新鮮に驚くほどに気が動転していた。
ゆっくりと身体を起こした瞬間、頭と下半身に鈍痛が走る。
隣を見ると髪を下ろした木兎さんが気持ちよさそうに寝ていた。布団からはみ出した逞しい腕にゆるく抱きしめられている。
朝起きて、あたたかい布団の中にいて、好きな人の腕に抱かれている。この上ないほど幸せな朝だ。幸せな人ランキングの世界大会があったら絶対に満場一致で俺が一位になるくらい幸せな朝。夢だったら醒めてほしくないほどの幸福に触れていた。
────だからこそ、まずい。
だるい身体を起こしてベッドを出る。木兎さんが身動ぎしたが、寝返りを打っただけだったようだ。
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