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    iceheat_ofa

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    生徒と教師のお話、一部。
    でくくんはここには出てきません。
    かっちゃんが化学の先生で、でくくんの幼馴染。
    轟くんがでくくんの居場所を知りたがるシーンです(先日進捗垢に上げたところをもう少し)

    forbidden love~後編~「爆豪先生、緑谷先生の行き先を教えて下さい」
     化学準備室で実験の準備をしていた勝己は、突然の訪問者に眉を顰めると視線を外し棚に置いてある実験器具をゆっくりと手に取った。
    「いきなり入ってきて何言ってんだ。んなこと俺が知るわけねぇだろ」
     勝己は早く出ていけと冷たく言い放った。
    「嘘だ。この間電話してるのを聞いたんだ。先生が緑谷先生もことを『デク』って呼んでるの知ってる。幼馴染なんですよね」
     あのバカ…と勝己は小さく舌打ちし、どうしたものかとじっと焦凍を見つめた。
    「知ってどうする?追いかけるのか?」
    「会いに行く。先生に会いたいんです」
     躊躇うこともなくそう言い放つと、焦凍は深く頭を下げた。勝己は大きくため息を吐くと
    「じゃあ、あいつはもう教師でいられねぇな」
     勝己の言葉がどういうことか分からず眉を顰める。
    「今回は黙って姿を消して、他へ移ることを条件に戒告処分で済んでる。なのにお前が会いに行けば、確実にあいつは免職になる。教師を続けるのは無理だな」
     それでもいいのか、と言葉にはしなくてもきつく睨みつける。
     焦凍の脳裏に楽しそうに授業をする出久の顔が浮かぶ。教えるのがとても上手く、それまで理解できなかったことがすっと落ちてくる感覚だった。
     たまに揶揄われて真っ赤になることはあったが、生徒とも楽しそうに話をしていて教師が天職のようだった。
     出久にとって大切な場所を奪うなど、焦凍には到底できなかった。会いたいけれど、そうすることで出久を苦しめてしまうようなことはしたくない。
     悔しさに唇を噛み、ぎゅっと拳を握り締める焦凍の姿に、勝己は大きなため息を吐くとスマホを操作して画面を開き、近くにあったペンでメモになにかを記しそれを焦凍の前へと差し出す。
     ぴらりと突き付けられたそれと勝己の顔を交互に見て、焦凍はゆっくりとそのメモを手に取った。
    「クソデクの電話番号だ。ただし、卒業するまでは絶対にかけるな。もし電話してそのことを黙ってても、あいつのことだ。お前から連絡が来たとなったらまず俺に文句言ってくる。その時点で…俺は教委にチクる」
     それがどういうことを意味しているか、先の勝己の説明で焦凍は理解しているはずだ。なのに無視して連絡するようなことはしないだろうと確信していた。
    「お前、成績ガタ落ちしてんだろ。担任が嘆いてたぞ。その番号、使いたかったら成績戻して卒業すんだな」
     それだけ言うと出て行けと白衣のポケットに手を入れて背を向けた。
    「ありがとうございます」
     焦凍はそのメモを大切に握り締めると、礼を言って準備室を後にした。
     残った勝己は机に拳を叩き付けた。ここで臨時講師だと紹介されただけでも驚いたのに、たかが幼馴染だというだけで引っ越した部屋の後始末までやらされ、その上なかなか頑固な生徒のお守りをさせられるとは思わなかった。
    「ぜってぇコロス…」
     緑のモサモサ頭を思い出し、勝己はまた「このクソが!」ともう一度机を叩いた。

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