爆発すんぞ修学旅行で泊まった宿に公衆電話があった。くすんだピンク色のダイヤル式電話だ。玄関棚の上に置いてあるそれが公衆電話だなんて、宿に着いた初めは全く気がつかなかった。
気がついたのは、綾瀬川がツレと一緒になって騒いでたからだ。あいつ、なんでそんな変なものに気がつくねん。初めて見るものにホイホイ気軽に近づくなや。爆発したらどないするねん。
俺は周りの奴と喋りながら、綾瀬川がピンクの電話を前にツレと何やら笑っているのを横目で見ていた。そうこうしているうちに綾瀬川は鞄から財布を取り出し、十円玉を摘まみだした。あいつ、使う気なんか?あほか?ほんまに爆発すんぞ?
しかし爆発したのは綾瀬川の手元ではなく、俺の鞄の方だった。
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