いつも通り一番にクラスについたルカ・カネシロは、自分の机の前で固まっていた。
その手には可愛らしいラッピングに包まれた箱。今日の日付は2月14日。
そしてリボンに差し込まれたメッセージカードには「闇ノくんへ」と書いてあった。
そうそれは隣の席の闇ノシュウ宛のバレンタインチョコレートだった。
おそらく別のクラスの女子がシュウに渡したかったが机の位置をしっかり把握していなかったのだろう。なんてことはない。ここはシュウの席へチョコを入れ直してやればいいだけだ。
腕を伸ばしてシュウの机の中へと箱をいれる。
その時、ガラリと教室の扉が開いた。
「……ルカくん?」
シュウが教室へ入ってきたのだ。
この二人が朝の教室で二人きりになるのは珍しいことではない。ルカも登校するのが早いが、シュウもまた来るのが早い。だからいつもどおりの朝のはずなのに、シュウはなにやら驚いたような顔をしている。
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