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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    敦太800字。四年後のお花見。

    ##文スト

    全部お見通し「し~がつは花見でぇ~、酒が飲めるぞっと~。
     酒が飲める、飲めるぞぉ~。酒が飲めるぞぉ~♪」
     と、太宰さんが缶ビールをマイク代わりに上機嫌で歌っていた。歌が終わると同時に彼は僕を半眼で睨みつける。
    「……室内だけどね」
    「だって、太宰さん。貴方ってば去年の花見で酔い潰した僕を、そのまま置いて帰ったでしょう」
     今年で僕は二十二になる。太宰さんと付き合い始めて四年目。太宰さんの扱いにもようやく慣れてきたところだ。
     というわけで去年の轍を踏まないように、僕ら二人で同居しているアパートの部屋。そこの卓袱台を挟んで、僕と太宰さんはお酒を飲んでいる。四月の陽気も麗らかな、休日。開いた窓から陽光と微風が入り込んでカーテンを揺らす。
    「それに桜ならあるでしょう。ほら、此処に」
     僕は卓袱台の真ん中を指差す。そこには僕が買ってきた、旭山桜の小さな鉢植えがあった。
     太宰さんは缶ビールを一気に干すと、其の缶で卓袱台を叩くように置く。続いて僕を見る。
    「こういうのに大事なのは気分でしょ? 満開の桜での花見とは全然違うじゃない!?」
     ぐうの音も出ない。僕は反論したかったが、言葉を飲み込んだ。太宰さんを花見に連れ出したくない理由が他にもあるからだ。でも、其れを知られるとまた面倒な事になりかねない。
     太宰さんは卓袱台で頬杖をついて、旭山桜の、薄紅の繊細な花弁を指の先で軽くつついている。
     ――だって、酔った太宰さんって……ものすごく可愛いくて色っぽいんだもの……!
     大酒飲みの太宰さんは、お酒を飲んでも様子が一見して普段と変わらない。でも、よくよく見ると、普段より少し――なんて云えばいいのか……。そう。どこか物憂げなのだ。上手く言葉が見つからないが。
     とにかく、酔うと長い睫毛が薄っすらと鳶色の瞳に影を落とすのだ。初めて其れに気づいた時、僕は自分の込み上げてくる衝動を抑えるのに必死だった。そして、僕と共に過ごすようになってから、日に日にそういう色香のようなものが増している気がしてならない。
     太宰さんが視線を此方に向け、少し微笑むように口の端を上げた。
    「……そう云う君の独占欲、私は嫌いじゃないけどさ」
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